やりすぎ注意! 極端なファスティングの落とし穴

2020年1月20日

ココカラネクスト

 「ファスティングダイエット」と呼ばれるようになって、かなりカジュアルな印象になった断食。ハリウッドセレブにも人気と聞くとやってみたくなるかもしれませんが、実はリスク(不確実性)も大きいのです。その危険性をRIZAP管理栄養士、小林真理さんに聞きました。

確かに手っ取り早く体重を減らすには、ファスティングは効果的かもしれません。しかし無理な食事制限はリバウンドしやすく、かえって太りやすい体をつくってしまうといいます。安易に始める前にファスティングのリスクを知っておきましょう。

知っておきたいファスティングのリスク

ファスティング(断食)は一時的に手っ取り早く体重を減らしたいという方には効果的かもしれませんが、長期的に考えるとあまり有効とはいえません。その理由を見ていきましょう。

1.体への負担が大きい

ダイエット中の適正な食事量は、日常生活の基礎代謝量や運動量とのバランスを考慮する必要があり、極端な食事制限は体調を崩す原因になりかねません。例えば、しっかり運動されている方が断食をすると、エネルギー不足に陥り、トレーニングをする気力がなくなり、汗をかく爽快感も味わえなくなります。エネルギー不足を放置すれば、筋肉の分解が進み、抵抗力も落ちて、運動効果も減少してしまいます。

2.精神的ストレスも大きい

断食を成功させるためには、自分の生活サイクルや行動予定を考慮し、しっかりとプランニングする必要があります。しかし、日常生活にはお付き合いの会食や旅行、出張、入院などのイベントがあり、それらとの両立は意外と大変です。勢いで断食を始めてしまうと、実行できずに挫折やストレスにつながることも。ひいては自分自身への嫌悪感になることもあるのです。

3.継続と体型維持が難しい

高価なフードやサプリを使うファスティングは期間限定を前提としたものが多く、一定量を消費した時がファスティング期間終了です。翌日からの食事はどのようにすればよいのでしょう。食生活が元に戻れば、やがて体型も元にもどってしまいます。

4.いざ断食を開始しようとした際に、それを理由に食べてしまう

「明日からファスティングだから、今のうちにたくさん食べておこう」という発想になりませんか? これではせっかくの苦労も水の泡。断食終了後が恐ろしいですね。

ダイエットは一時的に痩せても意味がありません。体型をキープするためには、継続的に実行可能な食事法を実践する必要があります。食生活におけるストレスはダイエットに失敗する大きな原因の1つになります。くじけそうになったときに続けられるかどうかは、それが楽しく継続できる方法かどうか。食べない、という選択肢しかない極端な断食は失敗しやすいのです。

本当にダイエットに効果的な食事法とは?

RIZAP の栄養相談には「毎日3回食事をとることが面倒」、「食事はできれば手短に済ませたい」、「できれば食事のことを考えたくない」といった声をたくさん頂戴します。

多忙な毎日のなかで時間に追われ、食べる事が二の次、三の次になっているのに、多くの方が「それでもなお体重が増える」、「食べていないのに痩せない」という壁にぶつかっています。それはなぜでしょう?

その答えは、食事と深く関わりのある生活習慣のなかに潜む「偏り」です。食べるもの、食べる店、食べる時間などが、長期的に何かに偏っていませんか?

食事の手順やルールなどを難しく考え過ぎることも「偏り」につながります。例えば、糖質量やたんぱく質量などを気にするあまり睡眠時間を削ってしまったり食事に懲って、それを続けられなくなるとサプリメントや健康フードで栄養素の数値管理を完璧にし、食事が単一、噛むより飲むような代替食になるなどです。そして、またある方は、正しいやり方をしているのにすぐに変化が得られないからと、ネットで見つけたネガティブな意見に気を取られて、最初の目標を見失ってしまう方もいます。現代は情報量が多く、様々なダイエット法が流行っていますが、どんなに効果的といわれるものであっても、自分に当てはまるかは別問題です。太りやすい時間帯に食べる習慣、短時間で食べられるメニューなどへの偏り、食べない時間が長いこと(半日以上)、睡眠不足などが、生活習慣の中に潜む「偏り」となります。

ダイエットを成功させるためには、食事を断つのではなく、楽しく継続的に続けられる食事法を見つけることが大切です。心や体のバランスが崩れる前に、その方法が楽しんで続けられるかどうかを、自分自身の心の声に耳を傾けてみましょう。食べる事で満たされている人は、笑顔が多いものです。

「極端なファスティングの落とし穴」まとめ

「糖質も断食も、決して悪モノではありません。ただ、糖質過多や過少、特定商品への固執、過信などの極端な「偏り」もアンバランスを引き起こします。定番の気軽でシンプルな食事、プラス昨日とは違う食品を選ぶ一歩を続けてみるだけで、意外にもバランス感覚が養われ、偏っていた事に気づく方が多くおられます。

健康な方が、頑張っているのに不用意な体脂肪の増加がある場合、生活習慣のどこかに「偏り」が生じていることのシグナルです。太ってきたなと思ったら、まずは睡眠不足や疲労感をリセットし、それに伴ってズレていた食事の時間、お通じのリズムを見直し、生活のリズムをニュートラル(偏りのない位置)な状態に戻してみましょう」と小林さん。極端なファスティングをしてスリムなボディを手に入れたとしてもそれは一時的な仮の姿。本当の自分の理想に近づくためには、生活習慣全般の見直しが必要、急がば回れなのです。

[記事提供:HOWZAP 【ハウザップ】 ライザップが運営するボディメイク情報マガジン (http://how.rizap.jp/)]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする