40kgの減量に成功した医療記者が解説! ダイエットは意思より環境が重要なワケ

2020年7月16日

ダ・ヴィンチニュース

 頑張って食事制限をしているのに、まったく痩せられない。毎日ジョギングしているのに、体重が一向に変わらない……。ダイエットに励む中で、そうした悩みを抱えている人は多いはずだ。

 そのような「頑張ってるのに痩せられない!」という声に対し、『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(朽木 誠一郎/KADOKAWA)は意外な助言を与えてくれる。

 キーワードは「意思より環境」。同書によると、近年の医学研究では「健康になるためには環境を変えるべきである」という考え方が常識になりつつあるそう。そして、その考え方はダイエットにも当てはまるのだという。

 環境の変化が大切なことは、実際に40kgのダイエットに成功した著者自身が証明している。というのも、著者の体重が100kgを超えており、痩せようと思っても痩せられなかった頃は、激務かつ薄給なベンチャー企業で働いていた時期だったからだ。

 そのように社会経済的状況が悪く、「相対的貧困」と言えるような状態の人は、社会心理的ストレスも強い状態。そのストレスが「不適切な食事の質と量」「喫煙」「多量飲酒」「運動不足」などのリスク行動を引き起こしてしまうという。

 なお著者は太っていた頃、安価に空腹を満たせる食事として、ライスがおかわり自由なラーメン屋で500円のラーメンをよく食べていたそう。そのような食生活では痩せられるわけがないが、実は「年収が低いと食事が炭水化物に偏る」という研究結果もあるという。

 日々の仕事や生活で心身が疲弊している人に、「野菜中心にバランスのとれた食事と、適度な運動をすれば、誰でも痩せられますよ」などと助言するのは、やはり酷な話なのだ。

 著者は3回の転職により相対的貧困と長時間労働から脱却し、ダイエットに成功した。「お金と時間に余裕がある状態の人ほど痩せやすい」というのは悲しい事実でもあるが、本書では他にも多くの「痩せるための環境の変え方」が提案されている。

 たとえば、SNSでダイエット開始を宣言し、その過程も投稿して、“いいね”を多くもらうのをモチベーションにすること。LINEで「運動報告部」というグループを作り、運動したことを報告しあって、互いに「えらい!」と褒めあうこと。ダイエットに役立つスマホアプリや、フィットネストラッカーなどのガジェットを活用すること……。

 そのようにして、「運動をしたくなる環境」「食事のコントロールのしやすい環境」を整えていけば、「『意思』でがんばる部分は大幅に削減できる」というのが著者の主張だ。

 なお、こうしたダイエット方法への有用性については、「認知行動療法」「行動変容ステージモデル」「健康行動理論」などの科学的根拠(エビデンス)も用意されているのが本書の特徴。闇雲に運動や食事制限を頑張っても痩せられなかった人や、怪しげなダイエット法についつい惹かれてしまう人には、役に立つ情報が多い1冊のはずだ。

文=古澤誠一郎

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