松本潤の強い“売れたい”願望、嵐が乗り越えてきたメンバー間の「温度差」

2020年1月29日

週刊女性PRIME

 今年いっぱいでグループでの活動を休止する嵐。今では国民的アイドルとして輝かしい功績を残しているが、ブレイクするまでには多くの苦難を経験してきた。テレビには映らない“Beautiful”な軌跡を、関係者の証言とともに振り返る―。
 いまや国民的アイドルとして、老若男女問わず、多くの人に名前が知れ渡っている嵐。デビューから21年がたった今年は、4月の中国・北京公演をはじめ多くのビッグイベントが控えている。

 5人は順風満帆にアイドルとして王道を突き進んできたようにも見えるが、ここに至るまでの道のりは楽なものではなかった。テレビには映らないところで、多くの壁に直面したからだ。グループの活動休止まで残り11か月となったいま、メンバーが見た光と闇を振り返る─。

“この子たちがデビューして大丈夫なの?”

 ’99年9月、アメリカのハワイ州ホノルル沖で嵐のデビュー発表会見が行われた。

 ハワイで、“未来のスーパーボーイ”たちを取材したカメラマンのAさんは、誰がデビューするかなど、事前情報はいっさいないまま現地に行ったと苦笑する。

「アイドル誌の編集長やスポーツ紙の記者など、20~30人くらいが集まっていました。報道陣の間では、当時ジャニーズJr.の中で人気が高かった、“滝沢秀明さんと山下智久さんの両方かどちらかがいるのでは?”と話していました。

 私たちはクルーザーに乗って、デビューするメンバーが乗っている船に接近すると誰がいるかわかるという趣向でした。でも、船に乗っている顔ぶれを見ても誰だかわからなかった。報道陣からは、 “この人たちがデビューして大丈夫なの?”という声もあがっていました(笑)」

 ただ、取材を続けていくうちに、嵐の持っている穏やかな空気感に気づく。

「5人はみんないい子だったという印象ですね。’97年にデビューして以来、大人気だったKinKi Kidsは当時こちらの取材にあまり心を開いてくれず、周りのスタッフもピリピリしていました。嵐は対照的に、変な緊張感がありませんでした。彼らとディズニーランドに行くイベントでは、報道陣と一緒に記念写真まで撮ってくれたほど。メンバーのまとまりがよく、毎日顔を合わせているのに、あそこまで仲がいいのはいつも感心していました」(Aさん)

 “癒し系”の嵐は、徐々に知名度を上げていった。

「コアなファンよりも“みんなの嵐”という感じで、親子で応援している人が多かったですね。男性のファンも多かった印象です。ほんわかした雰囲気ながら“グループのために”という熱い思いを持っているので、そこが同性からも支持を集めたのでは」(Aさん)

 まだウブだった5人を取材した雑誌編集者のBさんは、当時を懐かしむ。

「みんなで“俺が俺が”というタイプではなく、ちょっとシャイでした。ただ、櫻井翔さんは“前に出るタイプではなくても輝ける道がある”と話したり、相葉雅紀さんと大野智さんは、“5人のおもしろさやよさを自分たちがすくって、みんなに届けたい”と話すなど、まだ高校生だったのにしっかりしていましたね」

 撮影の合間も5人で話していて、学校で仲のいいクラスメートのようだったという。

「クラスで目立つポジションにいる男の子たちがワーッと騒ぐ感じではなく、そこまで目立たない男子たちが固まってゆったりと話しているような感じでした。戦隊ヒーローでいえば目立つポジションの赤レンジャーではなく、サポート役の青レンジャーのようなタイプの集まり。みんな自然体で、裏では急に不機嫌な表情を見せたり、媚びを売ることもありませんでしたね」(Bさん)

 そうは言っても、このころから個性の強いメンバーも。

「二宮和也さんは休憩中によくマンガの話をしていました。特に、水島新司さんの『ドカベン』が大好きで、周りのスタッフやほかのメンバーにおもしろさを熱弁することも。一方、櫻井さんは学校の試験が近いときに参考書を持ち込んで勉強をしたり、ほかのメンバーがマンガを読んでいる中、海外のニュースが載っている雑誌『ニューズウィーク』をチェックしていました」(Bさん)

陰で誰より“地味”な仕事人の松潤

 昔から仲のよかった嵐だが、5人と接することが多かったライターのCさんは、当初、松本潤とほかの4人の間に距離を感じていた。

「松本さんは最初から“売れたい”という気持ちが強く、ほかの4人は彼についていけていない印象でした。彼が嫌われていたわけではないのですが、仕事に対する気持ちに温度差があった。そのせいか、松本さんは自分の思いどおりにいかず、イライラしていることが多かったです」

 それでも一致団結していた。

「当時からダンスがそろっていました。でも、テレ朝系の『ミュージックステーション』に出演したときは、自分たちの出番が終わると、楽屋に戻ってすぐ録画を見てダメ出しをし合っていました。先導していたのは松本さんでしたね。彼はいまでもコンサートの演出をしていますし、実は陰で誰よりも地味なことをしているんです」(Cさん)

 芸能ジャーナリストの佐々木博之氏は“変わらなさ”が嵐が長年愛されてきた秘訣だと指摘する。

「売れてからも報道陣やファンにきちんと対応していました。デビューしてちやほやされて図に乗ってしまうタレントもいますが、嵐はそういうことはなかった。事務所が礼儀やマナーを厳しく指導していたのかもしれません。彼らが仕事先の人たちから愛されるのはそういう人間性が知られているからだと思います」

 こうしてシャイでほのぼのした5人は、スターになるための第一歩を踏み出したのだった─。