非ジャニオタも取り込んだSnow Man 初動90万枚突破の秘訣

2020年10月20日

日刊ゲンダイDIGITAL

 今年1月にデビューしたばかりの「Snow Man」がニューシングル「KISSIN’ MY LIPS/Stories」で初週売上91.8万枚を叩き出した。

 CDが売れないこの時代、2ndシングルでこの数字は驚異的といえるだろう。実を言うと、筆者もCDを買った一人。このCDが、初めて購入したジャニーズのCDなのだが、SNSなどでは、同じように「初めてジャニーズのCDを買った」とか「初めてジャニーズで好きになったグループ」という声も多く挙がっている。CDを購入したのは、YouTubeにはフルサイズのPVが上がっておらず、フルサイズを見たくてCDを購入したわけだが、そうした営業戦略だけでなく、グループとしての魅力がたくさんあることに気付く。

■新たなジャニーズの方向性

「KISSIN’ MY LIPS」は全編英語詞で、サウンドもクールな洋楽テイストがベースとなっている。今までのジャニーズの楽曲といえば、管楽器などの派手な音が、たくさん入ったキラキラして元気の出る楽曲というイメージが強かった。

 しかし「KISSIN’ MY LIPS」は、音数自体は多くない。さらには「ここからがサビですよ!」という過度な決め打ちもなく、派手な起承転結も音では表現されてはいない。音の作り方が非常に「洋楽ぽい」のだ。

 あえて作られた隙間が、9人の個性を生かすスパイスにもなっていると感じるし、ところどころに差し込まれているラップもとってつけた感がなく、楽曲としてのクオリティーが高いと感じた。

 一方、両A面である「Stories」は一転して、仲間の大切さや熱さを反映した疾走感あるロックチューンとなっている。「Stories」は、テレビアニメ「ブラッククローバー」のオープニングテーマにもなっているが、王道のアニソンらしさもありつつ、彼らの個性は消えていない絶妙な仕上がりと感じる。

 両極な良曲を一枚に納めつつ、絶妙なバランス感を見せる。そのシングルとしての完成度の高さもさることながら、特筆すべきは彼らのダンス技術だろう。

■圧倒的かつ職人的なダンス技術

 筆者が初めて、彼らのパフォーマンスをきちんと見たのは、最近放送された生放送の音楽番組だった。「KISSIN’ MY LIPS」は椅子を使った、非常にスタイリッシュな振り付けとなっている。

 激しく動くダンスよりも、一瞬一瞬の形の美しさが問われてしまうある意味、一番表現するのが難しいダンスだと感じた。

 足を出す角度や、目線によっても魅せ方やニュアンスが変わってくる、ダンサーでも難しい振り付けだと言えるかもしれない。

 さらに英語の発音も非常に上手く、そのダンスの完成度の高さも相まって、日本のジャニーズアイドルだと気づいたのはしばらく後のことだった。

 気づけばSnow ManのYouTubeチャンネルを検索し、他の様々なダンス動画を一通り見たが、見れば見るほど、純粋に彼らのパフォーマーとしての力量に驚かされた。

「これは本当にアイドルなのか?」と思いながら、ライブ映像を見てみると、きちんとアイドルらしいライブをしている部分もあり、どこかホッとしてしまったのも、Snow Manならではの魅力かもしれない。

■自然と笑顔になれる9人の「仲間感」

 さらに、YouTubeチャンネルにアップされた動画を通して、9人の素顔を少しだけ垣間見た。年齢もバラバラだが、いい意味でみんなが普通の感覚を持っている、少年であり青年だった。

 お互いを尊重し合い、Snow Manというグループを守っていこうという姿勢が、どんな動画からも感じられ、見ているとこちらも素直に笑顔になることができた。

 もちろんジャニーズ事務所が、YouTubeに参入し、SNS解禁などによる、「時代の後押し」もSnow Manの人気に繋がっているのかもしれない。

 しかしSnow Manのメンバーは、それぞれ下積みや不遇の時を経て、やっとデビューを手にしたというバックボーンがあるという。「ようやく見つけた居場所を大切にしたい」という思いこそがSnow Manの魅力の根幹となる「仲間感」に繋がっているのかもしれないし、その絆こそが一糸乱れぬ「パフォーマンス」や「ダンス」に結びついているのだろう。

(文・SALLiA)

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