がん患者のiPS細胞で大量の免疫細胞 治療法を研究へ

2020年10月2日

朝日新聞デジタル

 京都大iPS細胞研究所は1日、がん患者のiPS細胞から大量の免疫細胞をつくり、がんを治療する研究を、大阪大発ベンチャー企業「KOTAI(コウタイ)バイオテクノロジーズ」と始めると発表した。

 研究期間は3年間で、その後、実際に患者に使う臨床研究をめざす。

 研究では、患者のがん組織に含まれる、がんを攻撃する免疫細胞を採取し、iPS細胞をつくる。iPS細胞は様々な細胞になるうえ、無限に増やせる性質がある。この性質をいかして大量の免疫細胞に変化させ、患者に戻して、がんを退治する方法の確立をめざす。

 免疫細胞は一つの細胞ごとに攻撃する対象が異なる。がん組織に含まれる免疫細胞はがんを攻撃しているとみられ、治療効果の高い免疫細胞を見つけやすい。攻撃対象を認識する仕組みはiPS細胞になっても保たれるため、再び免疫細胞に変化させた後も、がんを攻撃することが期待できるという。