不眠症の分類からみるその原因とは

2020年5月13日

ココカラネクスト

東洋医学で考える睡眠とは

東洋医学では体は「陰」と「陽」でバランスを取っていると考えます。「陰」は非活動的なものを代表し、「陽」は活動的なものを代表します。この「陰」と「陽」が相対的に強くなったり、弱くなったりして生命活動を行っています。

 睡眠は、「陰」が「陽」より強くなった時に起こります。通常は、一日のうちで「陽」が盛んな日中には覚醒状態になり、「陰」が盛んな夜に眠くなります。

不眠症の分類

① 寝付きが悪い・すぐに目が覚める

良く見かけるのは、1)頭部に対して循環が良くない、2)下腹部や足の冷え、の二種類です。
1)の循環が良くないのは、東洋医学では「心」の状態が良くないと表現されています。2)の冷えは、東洋医学では「腎」の状態が良くないと表現されています。これら二つの原因は多様で、元々東洋医学的に「心」が悪いタイプの方に不眠が多かったり、「腎」が悪いタイプにも不眠がみられたりします。ちなみに、歳を取ると眠りが浅くなると言われますが、加齢と共に誰でも「腎」が弱くなるのが主な原因となります。

② 早く目が覚める

良く見かけるのは、東洋医学的に「肝」の状態が良くないことです。
現代医学的に「肝臓」は血液の質をコントロールする臓器です。過労や過度のストレス、食生活の乱れなどによって肝臓への負担が大きくなると、ずっと肝臓が頑張っていることになり、夜になっても頑張り続けてしまいます。その結果、朝方になって自然に体温が上がりだしたときに、体温が目が覚めてしまう温度まで上がってしまい、目が覚めてしまいます。

不眠症と鍼灸治療

まず体のどの臓腑や経絡に不調がありバランスを崩しているのかを診断して鍼灸治療にあたります。例えば「心」に不調がある場合は首やおなかに鍼灸を施して「心」と他の臓腑のバランスを取る、といった感じです。
 また、不眠が習慣化してしまっている場合、同じように診断をして鍼灸治療を施してゆきますが、長く不眠が続いていたせいで、考え過ぎて眠れなくなってしまうことがあります。これは東洋医学的には「心」の問題になりますが、ご自身でなるべく考えないようにすることと、鍼灸では頭部に治療を施すことが多いです。場合によっては自律訓練法というリラックスするためのトレーニングをやっていただきます。

不眠症と自己養生

基本は、規則正しく寝起きすることです。適度な運動も必要ですが、特になかなか寝付けない場合やすぐ目が覚めてしまう場合は、大雑把に言うと循環が悪いことと冷えていることが問題ですから、運動することで循環が改善され、基礎代謝もあがれば冷えも解消されることになりますので、運動が大事と言うことになります。やる運動は何でも良いのですが、少し息がはずんだり、汗が出るくらいの運動量は必要です。

 また早く目が覚めてしまう場合は、とにかく肝臓を休めることが大事ですので、心身共に休めること、そして飲食に気を付けることです。予想以上に食べているものの影響は大きいので注意が必要です。

東洋医学用語説明

1)臓腑:東洋医学では、身体機能を発現させるための重要な要素を五臓六腑に集約して考えており、五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」のことで、六腑とは「胆」「小腸」「胃」「大腸」「膀胱」「三焦」のこと。現代医学的な内臓とは東洋医学では少し解釈が異なる。また「臓腑」と省略して表現することもある。
2)肝:現代医学的な肝臓とは少し違い、東洋医学では心身共に適度な緊張感で機能するように調節する作用、全身各部へ必要な血液量を分配する機能、胆汁を作る機能を持つ主要臓腑とされる。

3)心:現代医学的な心臓とは少し違い、東洋医学では全身における血液の循環機能、精神作用を調節する主要臓腑とされる。

4)腎:現代医学的な腎臓とは少し違い、東洋医学では全身における水の調節機能、成長・生殖に関する機能を持つ主要臓腑とされる。

5)経絡:東洋医学では身体機能を発現させる重要な要素を臓腑(五臓六腑)が担っていると考えるが、その臓腑から各器官や手足に連絡をするシステムを経絡と言う。代表的な経絡は「手太陰肺経」「手陽明大腸経」「足陽明胃経」「足太陰脾経」「手少陰心経」「手太陽小腸経」「足太陽膀胱経」「足少陰腎経」「手厥陰心包経」「手少陽三焦経」「足少陽胆経」「足厥陰肝経」「督脈」「任脈」の14経絡である。

[記事提供:蓬松(ほうしょう)鍼灸治療院 http://houshou-hari.com/]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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