自律神経失調、うつ病、パニック障害の違いとは?

2020年3月13日

ココカラネクスト

はじめに

 皆さん、自律神経失調、うつ病、パニック障害の違いわかりますか?

いざ聞かれると、明確には答えられない方が多いのでは。

症状や原因は似ていますが、どのように区別、判別しているかみていきましょう。

自律神経失調症とは

自律神経失調症は、実は正式な病名ではありません。国際的な診断基準では自律神経失調症の病名はなく、あくまで「自律神経症状が認められている状態」のことをさしています。

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、機能が亢進する、あるいは機能が低下することでおこります。

日本心身医学会の定義によると、「自律神経失調症とは、種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」とされています。

つまり、自律神経のバランスがくずれ、自律神経症状が生じている。検査でも、はっきりとした異常が認められないもの。

精神疾患が認められないときには、自律神経失調症と診断されるケースが多いようです。

自律神経失調症とうつ病の違い

うつ病とは

抑うつ気分、抑うつ状態、うつ病
「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状を抑うつ気分といいます。抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態です。うつ状態という用語のほうが日常生活でよく用いられますが、精神医学では抑うつ状態という用語を用いることが多いようです。このようなうつ状態がある程度以上、重症である時、うつ病と呼んでいます。

うつ病の分類
うつ病の分類方法の代表的なものを示します。原因からみて外因性あるいは身体因性、内因性、心因性あるいは性格環境因性と分ける場合があります。身体因性うつ病とは、アルツハイマー型認知症のような脳の病気、甲状腺機能低下症のような体の病気、副腎皮質ステロイドなどの薬剤がうつ状態の原因となっている場合をいいます。

内因性うつ病というのは典型的なうつ病であり、普通は抗うつ薬がよく効きますし、治療しなくても一定期間内によくなるといわれます。ただ、本人の苦しみや自殺の危険などを考えると、早く治療したほうがよいことは言うまでもありません。
躁状態がある場合は、双極性障害と呼びます。

心因性うつ病とは、性格や環境がうつ状態に強く関係している場合です。抑うつ神経症(神経症性抑うつ)と呼ばれることもあり、環境の影響が強い場合は反応性うつ病という言葉もあります。

このような原因を重視したうつ病分類とは異なる視点からの分類が最近、よく用いられています。たとえば、アメリカ精神医学会が出しているDSM-Ⅳという診断基準には「気分障害」という項目があり、それをうつ病性障害と双極性障害に分けています。さらにうつ病性障害の中に、一定の症状の特徴や重症度をもつ大うつ病性障害と、あまり重症でないが長期間持続する気分変調性障害があります。

上記二つの分類法は異なる立場からの分類であり、それぞれに長所と短所があります。時に「内因性うつ病=大うつ病性障害」「抑うつ神経症=気分変調性障害」のように誤解している方がいますが、適切に使い分けることが大切です。

うつ状態でみられる症状

1) 自分で感じる症状
憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である、イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責める、物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れない
2) 周囲から見てわかる症状
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増える
3) 体に出る症状
食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり、動悸、胃の不快感、便秘がち、めまい、口が渇く

引用:厚生労働省HP

自律神経失調症の症状と重なる部分も多いですが、うつ病は、精神症状がより濃くでます。

ですので、病院でも最初は自律神経失調症と診断され、状態が悪化してきたり、精神症状が多く生じてくると、うつ病と診断が変更されることもあります。

厳密にこれといった判断基準はないように思います。

自律神経失調症とパニック障害の違い

パニック障害は、思いがけないときに突然、動悸や息切れ、強い不安を伴うパニック発作が生じます。

そしてパニック発作が繰り返されるうちに、発作に襲われることに対する予期不安や発作が生じる状況に対する広場恐怖を感じるようになり、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。

パニック障害は不安障害の一種とされていて、パニック発作 、予期不安 、広場恐怖がの3大症状が生じます。

パニック発作

「パニック発作」は、急性・突発性の不安の発作です。

突然の激しい動悸、胸苦しさ、息苦しさ、めまいなどの身体症状を伴った強い不安に襲われるもので、多くの場合、救急車で病院へかけつけます。

しかし症状は病院に着いたころにはほとんどおさまっていて、検査などでもとくに異常はみられません。

そのまま帰宅しますが、数日を置かずまた発作を繰り返します。

予期不安

・「また発作が起こるのではないか」という心配が続くこと。
・「心臓発作ではないか」「自分を失ってしまうのではないか」などと、発作のことをあれこれ心配し続けること。
・口には出さなくても発作を心配して「仕事をやめる」などの行動上の変化がみられる場合です。

発作を予期することによる不安を「予期不安」といいます。

いずれも、パニック発作がない時も、それに関連した不安があり、1ヶ月以上続いているということを意味しています。

広場恐怖

「広場恐怖」というのは、パニック発作やパニック様症状が起きた時、そこから逃れられない、あるいは助けが得られないような場所や状況を恐れ、避ける症状をいいます。

そのような場所や状況は広場とは限りません。一人での外出、乗り物に乗る、人混み、行列に並ぶ、劇場、会議などがあります。広場というより、行動の自由が束縛されて、発作が起きたときすぐに逃げられない場所や状況が対象になりやすいことがわかります。

パニック障害も自律神経症状を生じますが、自律神経失調症との違いは「パニック発作、予期不安、広場恐怖」があるかないかです。

まとめ

自律神経失調症は、うつ状態と同じで「病気」ではなく「状態」のことを意味しています。

自律神経のバランスが崩れている状態のことをさします。

自律神経失調症、うつ病、パニック障害は自律神経症状を伴うが、うつ病、パニック障害は精神症状が強くでます。

このほかにも似たような病気として、総合失調症、双極性障害、不安障害、PTSDなどがあります。

[記事提供:温春健心|健心鍼灸治療院(https://kanamati-shinkyu-seitai.com)]

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