体格指数のBMI 「何もせずに3も減った♪」で喜んではダメ

2020年4月9日

NEWSポストセブン

「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出されるBMI(ボディ・マス・インデックス)は国際的に用いられる体格指数だが、肥満の判定基準は国によって異なる。日本肥満学会が定めた基準では、18.5未満が「低体重」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」だ。

 健診ではBMIの上昇が気になる人が多いだろうが、実際には「急に下がる」ほうが危険だ。秋津医院院長の秋津壽男医師が警鐘を鳴らす。

「毎年徐々にBMIが上がっていた人が、とくにダイエットをしたわけでもないのに急激に下がったら、糖尿病の疑いがあります。

 糖尿病が急に発症し、急激に悪化した時は、摂取した栄養分が尿として排出されてしまうため、たくさん食べても体重が減っていく。放置すると、嘔吐や昏倒などの症状を起こし緊急入院になるケースもある。減量に取り組んだ覚えがないにもかかわらずBMIが1年で3下がれば、糖尿病を疑って内科を受診してほしい」

 他にはバセドウ病の可能性も考えられる。

「バセドウ病は甲状腺ホルモンが暴走している状態で、新陳代謝が異常に高くなり、食べても食べても痩せていくといった症状がみられます。合わせて脈が速くなる、汗をかく、手が震える、眠れないなどの症状があれば、疑いが強くなる」(秋津医師)

 逆にBMIが年々上昇している場合はどうか。国立がん研究センター予防研究グループが、45~74歳の男女約7万2000人を、BMIで7グループに分類し、5年間の体重変化を追跡した調査がある。

 その結果、BMIの高低にかかわらず5年間で10%以上体重が増加した女性は、体重変化がプラスマイナス3%以内の人に比べて脳卒中の発症リスクが1.49倍も上昇したが、男性では有意な関連性が見られなかったという。ナビタスクリニック理事長の久住英二医師がこう話す。

「BMIが基準値内でも、血糖値やコレステロールが高い“隠れメタボ”の人もいる。BMIはあくまでも指標のひとつとして考えるべきで、血糖値などと合わせて複合的に判断する必要があります」

※週刊ポスト2020年4月17日号