「新しい地図を使ってやって」SMAP復活 中居正広の深意

2020年2月20日

文春オンライン

 タレントの中居正広(47)が30年以上にわたり所属したジャニーズ事務所を3月いっぱいで退所し、独立する意向を固めたことが「週刊文春」の取材で分かった。近日中にも正式に発表すると見られる。

「週刊文春」は、これまでもSMAP解散後の中居をはじめとする各メンバーの動向を詳しく報じてきた。2019年1月31日号掲載の記事を再編集のうえ、公開する。

※記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。

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 2015年12月、木村の“裏切り”に中居が激怒。2人の間に埋めがたい溝が生じた――。SMAP解散後、ジャニーズ事務所に異を唱えることなく、仕事に邁進するキムタク。一方、意味深なセリフで周囲を煙に巻く中居。解散から2年、SMAP再結成の可能性は?

 解散から2年が経っても彼は退所した3人のことを気にかけている。彼にはジャニーズに残った負い目がある。苦境にある3人を差し置いて、ひとりでテレビに出ている自分を責め続けているのです」(中居の友人)

 1月16日、中居正広(46)が司会を務める「身になる図書館」(テレ朝系)、「ナカイの窓」(日テレ系)が終了すると、『デイリー新潮』が報じた。レギュラー番組5本のうち、2つが終了する異常事態だ。

「中居は過去に5度、CM起用ランキングのトップに立っているが、昨年以降の契約はゼロ。ファン向けの会員サイトも準備中のまま。かねてから中居の退所は囁かれていましたが、いよいよ“身辺整理”を始めたという観測が高まっているのです」(芸能プロ関係者)

 番組関係者が内情を明かす。

「2つの番組が打ち切られるのは事実ですが、日テレとテレ朝は、新番組でMCに起用する予定。日テレは金曜深夜の30分枠、テレ朝は土曜の昼帯です。ただし、いずれも“補填”の意味合いが強く、内容や共演者については何も決まっていません」

 昨年12月に放送された「キンスマスペシャル」(TBS系)で、中居は「タッキー&翼」を解散した滝沢秀明に対し、「僕個人は(幕引きを)怠った人間。『。(マル)』で幕引きができなかったので、どうか2人には……」と語り、心の整理がついていないことを打ち明けていた。

「中居はこれまでも新規の仕事に消極的だった。今回の打ち切りも局や事務所の冷遇ではなく、中居本人の意思によるところが大きい。ただ事務所内に中居とコミュニケーションを取れる幹部がいないため、彼の本心が掴めないのです」(前出・芸能プロ関係者)

ジャニーズ事務所の意向を忖度し「新しい地図」の起用を自粛

 また前出・中居の友人は、「中居の3人に関する言動が事務所を困惑させている」と明かす。言うまでもなく、3人とは「新しい地図」を立ち上げた稲垣吾郎(45)、草磲剛(44)、香取慎吾(41)だ。

「昨年、あるテレビプロデューサーが中居に新番組の相談をしたところ、逆に『新しい地図の3人に、地上波の番組を持たせてほしい』と頼まれたことがあった。実際に、3人が出演する企画はNHKに持ち込まれ、実現に向けて動き出しました。しかしNHKは、東京五輪の特番に嵐の起用を検討していたため、結局、上層部の反対で3人の番組は頓挫したのです」(前出・番組関係者)

 ジャニーズ事務所の退所後、元SMAP3人の民放でのレギュラーは稲垣の1本だけだ。3人の活動に対する露骨な“圧力”はないが、ジャニーズ側が明確な意思表示を行なうことは少なくない。

「昨年1月、フジが稲垣をゲストに招いた旅番組を制作したことがありました。そのとき、ジャニーズの担当者がフジ側に『どちらを選ぶのか』と詰め寄ったのです。他のタレントのキャスティングに影響が出ないよう、各局ともジャニーズ事務所の意向を忖度し、3人の起用を自粛しているのが実情です」(同前)

「新しい地図」の3人が決して口にしない名前

 一方の香取や稲垣もインタビューで中居の名前を挙げ、今も交流があることを匂わせている。

「収録現場では当たり前のように中居やSMAPに言及しています。しかし最近はさすがに事務所のチェックで削られるようになりました」(民放関係者)

 その3人が決して口にしない名前がある。もうひとりのキーマン、木村拓哉(46)だ。5人揃っての独立に反対し、解散後も我が道を行く木村は、俳優業で成果を上げている。

「1月18日に封切りされた主演映画『マスカレード・ホテル』(鈴木雅之監督)が大ヒット。週末の3日間だけで興収が7億円を突破しました。東宝は目標額を上方修正し、『最終興収で50億円を目指す』と鼻息も荒い」(東宝関係者)

 東野圭吾氏のベストセラー小説の映画化という話題性もさることながら、同作がヒットした最大の要因は木村を前面に打ち出した“宣伝戦略”だ。

「映画を製作したフジテレビは、年末から『HERO』や『プライド』などの過去の主演ドラマを一挙に再放送しました。そして極めつけは、木村の電波ジャックです。朝から晩まで情報番組やバラエティ番組にも立て続けに出演し、映画の宣伝に駆け回ったのです」(フジテレビ関係者)

タブーだった家族のエピソードも解禁したキムタク

 過剰なまでの露出が功を奏し、観客動員数は急上昇。木村が出演した番組も軒並み高視聴率を記録した。

「1月17日に放送された『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)ではドッキリ企画で女装姿を披露。翌日の『全力! 脱力タイムズ』(フジ系)では次女でモデルのKōki,(15)をネタにして笑いを取った」(ワイドショースタッフ)

 さらにこれまでタブーだった家族のエピソードも解禁。近藤真彦のラジオ番組に出演した際には、ささいな口論が原因で娘と1カ月近く口をきかなかった逸話を披露。なりふり構わず映画宣伝に励む木村の姿はSMAP時代の気難しいイメージを覆した。

 何より関係者を驚かせたのは「ザ!鉄腕!DASH!!」(日テレ系)で因縁のTOKIOと共演したことだ。ジャニーズ事務所の経営トップ、藤島ジュリー景子氏が育てたTOKIOと、元マネジャーの飯島三智氏が育成したSMAPは過去に共演はほとんどなかった。

「日テレではTOKIO、SMAPの担当者をそれぞれ『J1』、『J2』と区別し、収録日が重なることも禁じていたほどです。今回のオンエアでは先輩風を吹かしていた木村に対し、国分太一と長瀬智也の緊張する様子が画面からも伝わってきました」(同前)

 木村が出演した「鉄腕DASH」は18.6%という民放の週間最高視聴率を叩き出した。

「後輩にイジられても笑顔でかわし、どんなオファーも愚痴ひとつこぼさずに受け入れる。さすがに同じ番組から何度も出演を打診されたときは『またやんの?』と苦笑いしていましたが。1月2日の『モニタリング』では『何をやってもキムタクって言われる』と心情を吐露。弱い部分もさらけ出す姿がかえって視聴者から好感を持たれたのです」(前出・番組関係者)

「あのとき、木村さえ裏切らなきゃな~」

 だが、映画宣伝のためにあらゆる番組に出る木村も、中居が司会の「ザ!世界仰天ニュース」(日テレ系)には決して出ようとはしない。

 前出の中居の友人が語る。

「解散以来、2人は一度も共演したことがなく、今後も並び立つことはないでしょう。中居は今でも木村のことを『許せない』と思っているし、今でも『あのとき、木村さえ裏切らなきゃな~』と恨み節をこぼすこともある。彼の中では木村は“裏切り者”のままです」

「木村と中居の仲だけはずっと悪かった」

 SMAPでは同い年のツートップとして人気を二分した2人は、デビュー前からライバル関係にあり、お互いを激しく意識し合っていた。

 2人をよく知る元・忍者の古川栄司氏が言う。

「光GENJIのツアーの最中、ホテルで2人が殴り合いの喧嘩を始め、大騒ぎになったことがあった。当時の中居は木村にライバル心をむき出しにしていた。他の4人は2人に何も言えなかったんです」

「SMAP×SMAP」の元スタッフが明かす。

「中居がMCとしてスタジオトークを展開している時、木村だけにトークを振らなかったり、木村が話している途中で『はい、次、次』と遮ることもあった。そうかと思えば『木村はカッコいいよな』と嫌みのように連呼するなど、ハッキリ言ってイジメでした」

 こうした中居の仕打ちに対し、実際に木村が収録をボイコットしたこともあったという。

「5、6年前の収録で(妻の)工藤静香が飯島さんに『拓哉が行きたくないって言ってるんだけど』と電話をかけてきたことがあったそうです。しばらくやり取りした後、飯島さんが『いいから黙って連れてきなさい』と工藤を一喝した。あの頃の木村は、表情もどんよりしていて覇気がなかった」(別のフジ関係者)

 SMAPで、木村だけが浮いていた訳ではない。

 08年、歌手の倖田來未と交際していた中居はメンバーや飯島氏の反対に遭い、SMAPを脱退しそうになったことがあったという。

「香取と中居が何年も口をきかない時期もあった。5人はアメーバみたいに何人かがくっついたり、離れたりを繰り返してきた。ただ、木村と中居の仲だけはずっと悪かったのです」(別のスタッフ)

「戻りたいなら木村に土下座」

 2人の亀裂が決定的になったのは15年12月。SMAP解散騒動の渦中で木村が翻意し、5人揃っての事務所独立が消滅した前後のことだ。

「当時、中居は、芸能界の大物経営者に他の3人がジャニーズに残れるよう相談を持ちかけていた。その際、『戻りたいなら、木村に土下座しろ』と言われたことが中居には屈辱だったのです。実は、5人での謝罪会見で中居は自らの手をつねりながら頭を下げていた」(前出・中居の友人)

 修復は不可能なのか。SMAP再結成の可能性はないのか。前出の芸能プロ関係者は「東京五輪がラストチャンス」と語る。

「新しい地図の3人はパラリンピックのスペシャルサポーターを務め、中居は五輪のキャスターに就任する可能性が高い。ただ中居が3人と合流すると、テレビ局から見放される可能性もある。俳優でも歌手でもない中居がその状況に耐えられるかどうか」(同前)

中居を直撃すると……
 中居の本心はどこにあるのか。1月20日、中居を直撃した。

――番組の打ち切りに納得していますか。

「……」

――事務所との契約は続くのでしょうか。

「……」

 フードを目深にかぶった中居が視線を合わせることはなかった。

 読点が打たれたままのSMAP解散に、中居はどんな決着をつけるのか。

(「週刊文春」編集部 2019年1月31日号)

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