2020年12月23日
ミュージックヴォイス
活動休止まで残り10日を切った嵐。5人それぞれにスポットを当て、その功績を振り返る連載。今回は、二宮和也について触れていきたい。
自然に溶け込む演技で、俳優業でも高い評価を受けている二宮和也。14歳の時に、舞台『STAND BY ME』(1997年)で演技に初挑戦すると、映画初単独主演となった『青の炎』(2003年)では、完全犯罪を策略する17歳の高校生という難役に挑戦。ガラスのように傷つきやすい少年の心を繊細に表現し、脚光を浴びた。
そして、2006年には、クリント・イーストウッド監督が指揮を執ったハリウッド作品『硫黄島からの手紙』に出演。二宮は、「戦争は嫌だ」という価値観を持っている兵士・西郷昇を好演。イーストウッド監督からも、「類稀なる才能」と高い評価を受け、“世界の巨匠”に認められた存在”として、国外からもその才能に注目が集まった。
また、吉永小百合とともに主演を務めた映画『母と暮らせば』(2015年)では、『第89回キネマ旬報ベスト・テン』で主演男優賞、『第39回日本アカデミー賞』で最優秀主演男優賞を受賞。さらに、先輩・木村拓哉とともに出演した映画『検察側の罪人』(2018年)では、『第43回 報知映画賞』助演男優賞と、『第42回日本アカデミー賞』優秀助演男優賞を受賞した。アイドルとしてだけでなく、俳優としてもトップの景色を見た二宮。
そんな彼の印象的なところは、俳優をしている時も、自分はアイドルだという意識を常に持っているところだ。前述の『硫黄島からの手紙』に出演した際も、記者会見で「僕は俳優じゃないんです。5人でグループをやっている日本のアイドル」と何度も強調していた。
嵐初の単行本『アラシゴト』(集英社)には、「『涙をふいて』は、嵐になって初めて1人で仕事したっていうところで感慨深い。クレジットに“二宮和也(嵐)”として出るから、下手な芝居をすれば、嵐も大したことないなって思われる。それはできないって思った」と書いた。2019年に放送された『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)では、「ソロの仕事は5人に還元してなんぼ。(事務所にも)5人に還元できないことはやりませんと言っている」と明かしている。
21年間、グループを背負いながら、芝居の世界で戦ってきた二宮。どこか飄々と見える彼だが、グループへの想いは熱い。結成10周年を記念して、嵐全員で作詞を行った「5×10」には、<5人でいる ずっといる>という歌詞がある。このフレーズも、彼が「絶対に入れたい」と話したものだという。
9月に放送された『news zero』(日本テレビ系)では、「今後は分からない。今ある仕事は全部“嵐の二宮さん”にきているものだと思っている」と話していた二宮。グループが休止してからの時間に関して、「自分が何ができるかというよりも、自分が何を求められていたのかっていうのをまた考える時間に当てていく」とイメージをしていたが、何事も器用にこなす彼のことだから、きっとどんな分野でも爪痕を残していくことだろう。俳優・二宮和也としてのさらなる飛躍、そして、多方面での活躍が楽しみだ。【かなぴす】