崖にいたポニョに会いたい 引き取った施設、来場8割増

2020年12月13日

朝日新聞デジタル

 千葉県佐倉市の京成線沿いの崖にすみ着いて有名になったメスの子ヤギ「ポニョ」が、同市飯野の自然体験施設「佐倉草ぶえの丘」に引き取られて約3カ月。

 体は大きくなり、元気に暮らす。ポニョ人気もあり、施設の来場者は前年より8割も増えた。

 「はい、どうぞ!」。生まれて10カ月になるポニョのケージの前で、酒々井町から来た女性(75)とひ孫(1)たちが、えさのキャベツを差し出した。ポニョは柵から口を突き出して、ムシャムシャ食べた。女性は「テレビで見たポニョがどうしているのか気になって、ひ孫たちと来ました。元気いっぱいね」とほほ笑んだ。

 ポニョは5月、飼い主のもとから「脱走」して、約3カ月間、高さ約20メートルのコンクリート斜面で大好きな草を食べながら過ごした。捕獲された8月から、草ぶえの丘でほかのヤギ8頭と暮らす。

 施設職員の西野剛史さん(45)によると、当初はやせていたが、体格は見た目で1・5倍に成長。高さ約1メートルの囲いを跳び越えそうな勢いも。客からもえさをもらい、「少し腹が出てきた」。

 負けず嫌いの性格。上下関係があるヤギはお互いの頭を突いて力関係をみる。ポニョは大きいヤギに頭突きされてもひるまず、えさを取りに来るという。

 施設は今年、新型コロナウイルス感染防止のためイベントを開けず、団体客の宿泊は軒並みキャンセルになった。ただ、日帰り客は激増した。9~11月の来場者数は2万6816人で、昨年同期の1万4963人の1・8倍となった。

 これまで、客の多くは子ども連れの家族だったが、お年寄りの夫婦や、年配の女性グループが目立ち、ヤギのえさの販売も好調だという。大きくなったポニョを見ようという人に加え、コロナ禍で屋外の散策が好まれるためとみられる。丘の上にある展望広場からは、ポニョがいた線路わきの崖が眺められる。

 1歳を迎えるポニョの誕生日を祝うイベントが来年2月に検討されている。問い合わせは同施設(043・485・7821)へ。(上田雅文)