がんで若死にしないようにしよう

2020年1月30日

ココカラネクスト

 芸能人が癌で亡くなるととたんに、一時的にマスメディアがその癌に注目し報道が増える傾向にある。

しかしこの20年くらい闘病して死亡するというパターンは、乳癌患者では決して珍しいものではない。最近の乳癌患者は、発症してから10年以上生きるのが当たり前である。いや最近の癌は、どの癌でも、簡単に死ぬことはあまりない。ある癌にかかり、再発すると、人間はかなりの確率でその癌で死亡するのだが、延命治療は確実に進歩しており、以前は何ヶ月後だった死亡時期が、何年後や場合によっては何十年後になったりする。例えば75歳以上の男性が前立腺癌になった場合、病型にもよるが、手術しないで、薬で治療する場合が多い。

人間は、120歳前後までに確実に1度は死ぬので、変な言い方だが前立腺癌細胞を抑えてこんでいるうちに、心筋梗塞とか肺炎など病気で患者が死亡するのを待つのである。乳癌の場合、前立腺癌にくらべ圧倒的に発症年齢が若いので、癌細胞を抑えこめる時間より、人間の寿命のほうが長い場合が多く、残念ながら癌死してしまう。

将来的には、医学が進歩して、50年以上癌を確実に抑える薬ができれば、癌の手術はなくなり、高血圧や糖尿病と同じく癌は薬でコントロールする時代がくるそうだ。

ところでたとえ癌を患っても、その癌が早期癌だった人は、本当に運がいい人である。

世の中では、口をすっぱくして検診の重要性が叫ばれているが、健康に自信のある人は、なかなか検診を受けるモチュベーションが沸かないものである。一方一度でも癌になった人は、検診の重要性が、よく理解できる。1度癌になったということは、癌遺伝子をもっているということだから、また別の癌になる可能性もある。しかし1年1回少しの手間とお金をかけて検診していれば、もし別の癌になっても、また早期発見ができ、その癌で死ななくていいのだ。そういうことが身にしみてはじめて、検診を受けるという行動が取れるようになる人も多い。

よく自分は癌家系ではないという人がいるが、知りうる限りの先祖に癌がいない場合、その人の家系には、高血圧遺伝子や、糖尿病遺伝子があり、先祖は、癌になる前に血管の病気(脳梗塞・心筋梗塞)や、感染症(肺炎など)で死んでいた可能性が高い。これらの疾患がかなり克服されている現在、人間はだれでも年を重ねるごとに癌になる可能性が高くなってきた。日本女性の人生は長い。だれでも90歳まで生きることが可能な時代となった。癌で早死にしないためには、20歳を越えたら子宮癌検診、30歳を超えたらさらに乳癌検診、40歳を超えたら他の癌検診も追加して毎年受けるという習慣が大切である。

女性医療クリニックLUNAグループ
理事長 関口 由紀

[記事提供:女性医療クリニックLUNA(http://www.luna-clinic.jp/)]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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