サイゼリヤが価格改定「ピッタリ1000円」で何が食える?8月にはキャッシュレスも

2020年7月16日

日刊SPA!

 庶民の味方「サイゼリヤ」。他の追随を許さないコストパフォーマンスで、サラリーマンから中学生まで様々な人を惹きつけている。そのサイゼリヤが、7月から価格改定に踏み切った。税込み価格の下二桁を「00」または「50」にしたのだ。これにより、10円以下の硬貨は釣り銭として発生しなくなる。同時に、キャッシュレス決済利用者にとっても非常に利便性が高い仕組みになった。

◆ミラノ風ドリア+柔らかチキンのチーズ焼き+ドリンクバーで1000円

 サイゼリヤは、その安価と引き換えに「クレジットカードが使えない」という特徴があった。

 大型商業施設内の店舗は例外だが、サイゼリヤは基本的に「現金主義」。うっかりクレカのみを持って飲み食いしたら大変なことになった。それが一転、サイゼリヤのキャッシュレス対応が始まった。クレカはもとより、電子マネーやQRコード決済、交通系ICカードの導入を8月から開始するという。

 その前段階として、画期的な価格改定が行われた。冒頭にある通り、税込価格を切りのいい数字にすることで極力小銭を発生させないというものだ。

 既にメニュー表は新しいものに変わっている。ざっと見るだけで、ゼロの並びが気持ちいいと感じてしまう。ミラノ風ドリアが300円、ハヤシ&ターメリックライスが500円、野菜ときのこのピザが400円、ほうれん草のソテーが200円、アスパラガスの温サラダが250円。何を頼んでも、50円より安い硬貨の釣り銭が出てこない。

 早速注文してみよう。この日の筆者は、ミラノ風ドリアと柔らかチキンのチーズ焼きとドリンクバーを選択。実は筆者がサイゼリヤで食事する時、高確率でオーダーする組み合わせでもある。腹が減ったらこれに限る。

 さて、この組み合わせで合計金額はいくらか。なんと税込で1000円ちょうどである。

◆現代人の財布に合わせた価格改定

 この日はあえてキャッシュレスではなく現金で会計を済ませた。1000円札1枚出すだけで店を出ることができるのは本当に気持ちがいい。これにキャッシュレス決済が加わるとしたら、確かにサイゼリヤは長足の「近代化」を遂げることができるはずだ。

 70年代の終わりに日本でタイトーの『スペースインベーダー』が流行した時、あまりの人気に100円玉が不足したという都市伝説もあり、当時のタイトー本社には100円玉で過積載になったトラックが毎日往来していたという。あの時代にキャッシュレス決済があれば…。

 そもそも、現代人の財布は小さい。これは比喩ではなく、本当に小さい。いわゆる「ミニマリストウォレット」というもので、数枚のカードと畳んだ紙幣が入ればそれでいいという発想だ。「長財布は金持ちの証」というイメージは、既に古ぼけたものになっている。

 そんなライフスタイルだから、頻繁に小銭が発生するような決済は非常に困る。サイゼリヤの価格改定は、現代人の要望に応じた判断と解釈することもできる。

◆業界全体に影響が波及か?

 取引のほとんどをキャッシュレス決済で実行する近未来は、確実に到来しようとしている。だがその前に、あらゆる小売価格の下二桁が「00」もしくは「50」になる瞬間が来るのではないかとも想像してしまう。それは決して突飛な妄想ではないはずだ。

 誰にとっても便利な社会の実現。現金決済を選択しても小銭の発生しない価格設定は、小売・飲食業界にとっては避けて通れないプロセスになるかもしれない。<文/澤田真一>

【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』

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