続出する手越祐也の偽アカウント 利益なくても“偽者コミュニケーション”する人々の心理

2020年7月4日

ABEMA TIMES

 ジャニーズ事務所を退所した元NEWS手越祐也の偽アカウントが続々と出現し、本人がファンに向けて騙されないようにと注意喚起する事態が起きている。

 先日行われた記者会見で、Twitterが本人のものであることを公表したばかりの手越だが、この時既に偽アカウントは生まれていた。現在、本人のものはTwitter、Instagram、YouTubeの3つ。「俺の偽アカウントが出てて、騙されてる人が多くて、困るからみんな騙されないように!」と発信し、自ら通報するだけでは偽アカウントが削除にならないと、Twitter社への通報に協力も呼びかけた。

 無断で写真を転載し、プロフィールも酷似させた偽アカウント。別人のなりすましは罪になるのか。ネット犯罪に詳しい藤吉修崇弁護士によれば「あり得る犯罪としては名誉棄損」とし、「偽アカウントが本当に本人だということで、周りが誤解するようなものであれば、本人があたかも呟いているようになりすまされているので、それによって、手越さんの社会的な評価が下がるような発言を繰り返せば名誉毀損ということに当たる」と解説。ただし、「そのなりすましアカウントというのが、本当に本人と周りが信じるかどうか」とも付け加えた。

 ポイントは、なりすまされた人の社会的評価が下がるか否か。偽アカウントの中には15万人を超えるフォロワーを持つものもあり、こうしたフォロワー数も本人と信用させる指標になる。中には本人のアカウントで公開された写真をそのままアップロードしている偽アカウントもあり、見分けるのも難しい。では、本人が訴えた場合はどうか。

 藤吉弁護士は「法的な請求の土台になる可能性はある」とし、「例えば名誉毀損しかり、彼の経済的価値が毀損されるようであればパブリシティ権もあるので、そういったものに基づいて発信者情報の開示を求めるというのは全然できる」と説明した。

 慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏が注目したのは、偽アカウントを作っているかもしれない人々についてだ。今回大量に現れた偽者は、金銭的な利益などを不当に得ようといるわけではなさそうだ、何が目的なのか。「長年ニート生活をしている若者が言うには、人生で一番苦痛なのが、誰かとケンカや衝突することではなくて、家族以外とは誰とも関われず、なにもない無機質な日常を送ること」だと紹介した。

 本人でなくとも、有名人になりすますことによって、多くの人々とネットで関わりが持てる。ファンが多い有名人なら、実際にはかけてもらえないようなポジティブな声もたくさん飛んでくる。「有名人を偽れば、一瞬で数千、数万という反応が来る。もちろん、本当の自分に対してではない。それでも、誰かが連絡してきたり、言動に反応が返ってくること、偽者としてでも、誰かと生のコミュニケーションがとれることに意味を見出しているのではないか」と、リアルな世界でコミュニケーションが取りづらくなってしまった人々にとって、無機質な日常から逃げる場所になっているのではと述べていた。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)