城島茂、20年目“DASH米”福島無理なら自宅で…=紙面未収録分を加えた完全版=

2020年6月6日

スポーツ報知

 全国で新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除されたが、まだ警戒を続ける日々は続く。今回の「J」は、TOKIOの城島茂(49)が登場。徐々にテレビ各局で番組収録再開の動きが出てきているものの、全国各地でロケを行う日本テレビ系「ザ!鉄腕!DASH!」(日曜・後7時)は、まだ“日常”を取り戻せていないのが現状。そんな今、掲げたメッセージは「つなぐ」だ。番組企画として20年目を迎えた“DASH米”についての強い思いも語った。(畑中 祐司)=紙面未収録インタビューを加えた完全版=

 コロナ禍で世界中の人々の生活が一変した。城島は、多いときで週4日も全国各地にロケに繰り出す生活を長く送ってきた。

 「皆さんがそうだと思う。外出自粛において、プライベートでも仕事面でも。この業界は最初、テレビ局が立ち入り禁止になって、後にソーシャルディスタンスで2メートル空けて、リモートという形で収録したりというような状況で対応してましたけど、こと仕事以外の部分は変わらないスタンス。やっぱり家にいることが多いです」

 自宅では、どう過ごしているのか。

 「(国分)太一なんかリモートで仕事をしたり、アウトドア好きなので家にテント張って、そういう楽しみ方してるって言ってましたけど、自分は自分で、そのままありのままを受け入れてみようと。それこそデビューする前、30年ぐらい前に仕事がなくて、いつも合宿所にいた頃じゃないけど。そういう状況って本当に何十年ぶり。ありのままを受け止めて、自分の心身ともに変化とかどうなんだろうって。でも、やっぱり変な感じでしたけど、家の片付けだったり、今、自分ができることをやろうって」

 現状は、「鉄腕DASH」にとっても“苦境”と言える。無人島が舞台の「DASH島」、全国の農家に出向く「出張DASH村」、各地の名産を紹介する「ご当地PR課」など名物企画の数々は、すべてロケありき。

 「DASHというのは、他県に行ってなんぼ、他県の風土に触れてなんぼ。そこの土地の方々に会って、どういう勉強させてもらうか、どういうお話を聞けるか。会いに行くのが目的だったり、そこから生まれることとか、知ることとか、それをずっとやってきたので、そこのライフラインを断たれちゃうと、もう身動きができない」

 次第に収束に向かっているとはいえ、完全に不安を拭い去れる日は、まだまだ見えない。

 「ウイルスは消えない。ロケに行ったりするときも、もうウイルスはあるもんだって想定して、それを念頭に置いてやっていかないといけない。となると、新しいやり方も考えないと。自分たちはいいけど、農家さんだったり漁師さんって、普段通り仕事をされている。そこに都会から押しかけて行くっていうのも、すごい迷惑な話。どうやっていけばいいんやろうなっていうのは、自分自身でもまだ方法論はない」

 ありのままを受け止める中で今後の模索に考えを巡らせる日々が続く。

 「それこそ、ちょっと前にメンバーとスタッフと、パソコンで今後どうしようかって。リモートってやつで初めてやったんですよ。撮影を含めて、会議しました。僕はここ(事務所)に来て。(セッティングとか)よく分からなかったんですけど(マネジャーに)やってもらって」

 今一番、頭を悩ませているのは米作りという。品種改良を加えながら「新男米」「ふくおとこ」の収穫を続けてきた。01年にスタートし、今年で20年目だ。

 「いつも福島で作るんですけど、作れない。で、どうしようかというところで会議して、自分たちに今できることはなんだろう、と」

 行き着いた米作りの場所は意外な答えだった。

 「もう田植えをしないと間に合わない。今がギリギリというところで県外に移動できないなら、東京でやるしかない。自宅でやろう、と。責任を持って自宅作業で毎日見守りながら米をやろうということを今やっています。今日も朝9時ぐらいから水やりを」

 自宅で米作りなど可能なのか。

 「そこなんですよ。自宅のリビングに米をまくわけにはいかないから、そこはいろいろ考えて。家庭菜園とは、また訳が違うけど、20年の米作りをノウハウを。これまでのいろんなこと教えてもらったり、経験してきた。僕発信でこうしようって決めさせてもらった。それしか手立てがない。責任を持ってやっているところ。でも、本当に大変です」

 詳細は、今後の放送で明かされるが、果敢とも無謀とも言える挑戦だ。

 「今年は見送ろうかっていうのは簡単。僕が種もみだけして、企画はお休みして、大丈夫なら収束してからやればいいじゃんって。これは誰もがリスクを考えれば普通に、別に休ませてもいいんじゃないの?ってなる。でも、可能性として方法論としては言えても、(休むという)選択肢としてはなかった。この状況でも、何とかして乗り越えて次につなげることに意味がある」

 強い決意の裏には、スタッフや支えてくれた人たちへの感謝の気持ちが大きい。

 「自分たちでやってきたんじゃない。最初は三瓶明雄さん(14年死去、享年84)という農業指導の方がいて、その方に教えてもらいながら、福島の皆さんに手伝ってもらいながら。あと今年もやってるなって見てくれているテレビの前の皆さんもいる。いろんな方の思い、気持ちもあるでしょうし。今、TOKIOというか、TOKIOにいる自分ができること。こういう状況の中で『最近どうしてますか?』って言われると、僕はそこに全身全霊。だから、あるがままを受け入れて、どう対応するか」

 猛威を振るうウイルスによって、全世界で多くの命が奪われた。その一方、自身は新たな命に触れた。2月に待望の長男が誕生した。

 「自分の命も家族の命もメンバーの命も、20年目の稲という生命に対しても、どう向き合うか。たかが米、たかがバラエティーの1コーナーかもしれませんけど、20年ずっとやってると、種もみが、いとおしいんですよ。おろそかにできない」

 暗い影を落とす日々を現実として受け止め、視線の先に明るい未来を見据える。

 「まさか、こんな都内で米を育てるって面白い。気候、土壌、場所が違うとこんなに変わるのかって。ある程度は分かっていたけど、どこまでできるかなと。今は分かりやすい結果になってます(苦笑い)。なるほどな、そらそうだよなって。面白いですよ。見てください。20年目の挑戦の結果、徒労に終わることも、ゼロじゃなくマイナスになってしまう可能性もなきにしもあらず。まだ分からない。ですが、何とか実りの収穫の秋を迎えたい。この状況だからこそできること。命をつなげることをやらなきゃ」(紙面より)

 ◆紙面未収録インタビュー

 「鉄腕DASH」ともう1つ、グループのレギュラーに「TOKIOカケル」(フジ系、水曜・後11時)がある。

 「最初は総集編を放送していたけど、初めてリモートで収録して。やって思ったのは、リアクションが変わってくる。丁々発止がちょっと違う。空気が伝わらない。同じ空間だと空気を読んで、察知して、となるけど、画面上だと分かりづらい。これも新しい。リモートならではの番組の対応の仕方、コメント力だったり。エンタメ界がどんどん変わっていく」

 MCを務めるテレビ朝日系「週刊ニュースリーダー」(土曜・前6時)では、毎週のように新型コロナの話題に取り組んでいる。

 「毎週2時間ずっとやっている。正直ずっとだと、しんどくなってくる。たまにはホッとしたいなって思うぐらい。でも、やっぱり伝えなきゃいけない。ただ、やっぱりそうなってくると、どうこの新型コロナと向き合っていくか」

 インタビューに応じた2日には、前日に3段階のロードマップの中で「ステップ2」に移行したばかりの東京都で「東京アラート」が発動された。今も日々の生活を送る中で胸にとどめるのは「責任」という言葉だ。

 「自分自身が感染しないようにというより、自分の身近な人だったり大切な人だったりを巻き込んでしまうというか。どういうきっかけで、どこから自分もそういう立場になるか分からない。とにかく目に見えない敵というか相手ですからね。かなり神経質にならざるをえない」

 新型コロナ感染拡大した当時「若い世代は軽症」などとも言われた。

 「そうなんやっと思って見ていたんですけど、気がつけば自分も、もう(11月で)50代。その世代って割と大変な状況になっている人もいる。ニュース見ても、40代後半、50代で大変な状況になっている方もいらっしゃる。世代的にも気をつけなきゃなってピリッとするところもある」

 ステイホーム期間では「オンライン飲み会」という新しい文化も浸透した。

 「プライベートでやったことないですね。リモートというのは、仕事でしか。でも、ちょうど、こないだパソコンが壊れて…。仕事できんなと思って、ちょうど今、頼んだところです。こういうときって壊れると何もできない。ポイントが貯まってたので、それで買いました」

 生活様式とともに、コロナ禍で人々の考え方も変わったところはある。

 「より家族間のつながりというか。僕自身、割と昔から家族とこまめに連絡をとろうと心がけてはいたけど、周りに聞くとそうではないところもある。社会に出ちゃうと親とか家族に対して、ちょっと疎遠というか。そう考えると、家族間のコミュニケーションはもっと密に大事にしなきゃいけないなって改めて思わせられたというか」

 自身の親も、もう高齢だ。

 「今では宅配とかネットサービスはあるんでしょうけど、うちの親なんかガラケーでネットとかスマホは使えない。それこそマスクなんか、どうやって手に入れるか分からない。『並べばええの?、あれは』とか」

 杉良太郎(75)が発足させ、城島も参加する「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」(SOS47)の活動にも通ずる。

 「特殊詐欺の防犯のお手伝いをさせてもらったけど、それも『家族との絆を大切にしよう』というキーワードがある。核家族、少子化って言っていますけど、最後は家族の絆、人の絆が大事」

 ステイホーム期間について「1人だったら大変でした」と結婚、長男の誕生を経験した今、改めて家族の存在をかみしめる。家族の大切さは、新米パパとして子育てに励む日々でも実感する。

 「子育てということに関しては、逆に言えば自分の親に感謝。改めて感謝しました。もちろんですけど、逆の立場になると、こんなに大変なんだと。自分の親も、それを繰り返して大きくなったんでしょうから。つなげてきてんだなってなると、やっぱり『つなぐ』というキーワードがものすごい重要だなと思います」

 ◆城島 茂(じょうしま・しげる)1970年11月17日、奈良県出身。49歳。86年にジャニーズ事務所入所。90年にTOKIOを結成し、94年9月「LOVE YOU ONLY」でCDデビュー。ソロでの仕事にテレ朝系「週刊ニュースリーダー」、NHK「民謡魂 ふるさとの唄」など。日テレ系「ザ!鉄腕!DASH!」の経験を生かして、2019年4月に首相官邸で開かれた政府の「農福連携等推進会議」に有識者として出席。同9月にタレントの菊池梨沙と結婚し、今年2月に長男誕生。