台風で天気痛 発生したとたん症状が出る人も

2020年5月17日

ウェザーニュース

5月12日にフィリピン沖で台風1号が発生しました。この台風はすでに熱帯低気圧に変わっていますが、日本に近づく前からすでに頭痛、関節痛、体のだるさ、めまいなど天気痛の症状が現れている人がいます。なぜ台風が接近する前から天気痛が出るのでしょうか。

「微気圧変動」が自律神経に影響

「私の『天気痛外来』の患者さんの中には、台風がフィリピン沖で発生したとたんに天気痛の症状が現れる人がいます。日本から3000kmも離れた台風が、なぜ天気痛を引き起こすのか調べると、ごく小さな気圧の変化が発生しているのです」と語るのは、ウェザーニューズ気象病顧問アドバイザー・愛知医科大学客員教授・中部大学教授で医師の佐藤純先生です。佐藤先生によると、台風が発生すると50Pa(パスカル)、つまり1hPa(ヘクトパスカル)の半分ほどの微気圧の変動が3000km離れた日本でも発生します。この微気圧変動が耳の奥の内耳にある気圧センサーに作用して天気痛の症状をもたらす可能性があると言います。

台風が接近すると本格的な症状

「遠くの台風の微気圧変動による頭痛や体のだるさは予兆のようなもので、台風が近づいて気圧計でわかるほど気圧が下がると天気痛の本格的な症状が現れます。台風が熱帯低気圧や温帯低気圧に変わっても、気圧が下がれば症状が強くなります」(佐藤先生)頭痛、関節痛、古傷が痛む、体がだるい、めまい、むくみ、吐き気など、人によって現れ方が違いますが、台風接近で体調を崩すのです。「台風が最接近した後は遠ざかる一方ですが、気圧が元に戻っても体調がすぐに回復せず、2、3日は症状が残る人が多いようです。船酔いや車酔いは、船や車を降りたからといってすぐに治らないのと同じです」(佐藤先生)

台風による天気痛は予防できる

台風による天気痛は症状も強いことが多いのですが、近づくことがわかっていれば症状を軽減できます。「頭痛や関節痛、めまいなどで医療機関に診てもらって薬を処方されている人は忘れずに服用してください。病院で診てもらわずに我慢している人は、市販の酔い止め薬、漢方薬の五苓散(ごれいさん)、天気痛用の耳栓が症状を軽減してくれることがあるので試してはいかがでしょうか」(佐藤先生)この時期は気圧の変化だけでなく、気温差が大きくて体調を崩すことがあります。そんな人にオススメなのが眠る前の入浴です。「いつもはシャワーですませる人も、夜寝る前はぜひ入浴してください。38~40℃前後のぬるめのお湯に10分から15分ほど浸かります。特に気温が低い日も薄着をする女性には試していただきたいです」(佐藤先生)

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