2020年1月17日
毎日新聞
77万4000~12万9000年前(中期更新世)の地質時代が「チバニアン」(千葉時代)と命名されることが17日、韓国・釜山で開かれた国際地質科学連合の理事会で決まった。千葉県市原市の川沿いに露出した地層「千葉セクション」が、中期更新世と前期更新世の境界を示す代表的な地層として認められた。地球の歴史を117に分けた地質時代に、日本の地名が付くのは初めて。
千葉セクションには、約77万年前に地球のN極とS極が入れ替わった最後の地磁気逆転の痕跡が明瞭に残っている。茨城大や国立極地研究所などの研究チームは、この地層を時代の境界となる「国際模式地」として認めるよう、2017年6月に同連合へ申請していた。
国際模式地を巡ってはイタリアも2カ所の地層を申請し、中期更新世を「イオニアン」とする提案もあったが、千葉は地磁気逆転を示すデータの質が良く、1次審査で破っていた。18年に2次審査、19年に3次審査を通過。17日の理事会では理事の過半数の賛成を得て「チバニアン」が決まった。
審査中、研究不正を訴えて命名に反対する国内の研究者が、国際地質科学連合の委員に異議を申し立てるメールを送ったり、地層沿いの土地の賃借権を取得したりする動きもあった。市原市はこれに対して、研究者が自由に立ち入れる条例を19年9月に制定するなど、研究チームを支援していた。
地層を含む市原市の養老川沿いの一帯は18年10月、国の天然記念物に指定された。命名が取り沙汰され始めて以降、見学に訪れる人が増加し、地元でも正式な命名への期待が高まっていた。【池田知広】