連続ドラマがテレビから消える!?緊急事態宣言延長で収録ストック「5月下旬で尽きる」

2020年5月5日

スポーツ報知

 緊急事態宣言の5月末までの延長を受け、エンターテインメント業界にもさらなる影響を及ぼすことは必至だ。テレビドラマ、音楽、映画、演劇など、さまざまな作品の制作がストップしている。いつ、業界が活気を取り戻す日がやってくるのだろうか。

◆収録3密避けられず

 宣言の延長に、テレビ各局も頭を抱えている。現在収録がストップしている番組の今後について、TBSは「今月末まで見合わせを延長いたします」とコメント。他の局も、連休明けに各局それぞれの対応策を発表するとみられる。

 情報番組やバラエティー番組等は、リモート出演や出演者間の距離を取るなど工夫して収録を再開している番組もあるが、一番の懸念は連続ドラマ。放送関係者は「ドラマの現場は3密にならざるを得ない。リスクを無視して撮影をすることはできない」と指摘する。現場に関わる人数が多く、バトルシーンやラブシーンなど、作品の展開によっては密着しての演技も行わなければならず、緊急事態宣言中の収録再開は厳しいといえる。

 4月クールで注目の高かったTBS系「半沢直樹」(日曜・後9時)や木村拓哉主演のテレビ朝日系「BG~身辺警護人~」(木曜・後9時)など多くの連ドラが初回放送を延期し、放送再開のメドは立っていない。数回放送したのち、過去作の再編集版や別のドラマに切り替えられるものも増えている。7月期ドラマのスケジュールにまで影響を及ぼす恐れも出てきた。

 予定通り放送が続いているのは日本テレビ系「美食探偵 明智五郎」(日曜・後10時半)、テレビ朝日系「警視庁・捜査一課長2020」(木曜・後8時)、テレビ東京系「行列の女神~らーめん才遊記~」(月曜・後10時)など。「行列の―」はすでに撮影終了しており、最終回まで“完走”予定。「美食探偵」「―一課長」はまだストックは残っているものの、テレビ関係者は「最終回までは撮りきっていない。5月下旬をメドに素材が尽きる」と落胆する。連ドラ業界も大きな危機に直面している。

◆音楽業界「ライブ年内は開催難しい」

 音楽業界では、4月上旬の時点で、ジャニーズ事務所やLDH JAPANを始め、大多数のアーティストが5月31日までの公演中止または延期を発表し、対応を余儀なくされた。6月以降のライブ開催に関しても、厳しい対応が迫られる。ライブ会場は大小や屋内屋外に関わらず、密閉、密集、密接の「3密」の要素がそろっているため、クラスター(感染者集団)が発生しやすいとされる。

 複数のレコード会社幹部が「年内のライブの開催は難しいのではないか、という声が上がっている」と明かす。音楽関係者も「みんな手探りの状態。夏フェスも影響が出てくると思う」と語った。

 現に、DREAMS COME TRUEは、4月16日の段階で10月17日開幕の全国ツアー(全18公演)を中止することを発表した。ゆずも、翌17日に春開幕の全国アリーナツアー(全33公演)の開催見送りを発表。発表済みだった全ての公演を取りやめ、振り替え公演に関しても来年秋以降に延期するという思いきった決断を下した。

 業界全体が停止した状態が続く。「アフター・コロナ」に向け、試行錯誤を続けていくことになる。

◆映画・演劇業界、ネット配信増も「延命措置」

 映画、演劇業界には新たな動きが広がる。映画館での上映が厳しいことから、映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督(36)はリモート制作映画「カメラを止めるな! リモート大作戦!」をYouTubeで公開。俳優の斎藤工(38)も遠隔編集映画を試みている。劇場再開まで、映像での歌舞伎やネット配信映画が増えるのは間違いないが、関係者は「延命措置であって、このままでは厳しいことには変わりない」と話す。

 映画館に対する支援も広がっている。閉館危機にある全国の小規模映画館を守るための支援「ミニシアター・エイド基金」は2億3000万円を突破した。

 6月末まで全公演中止を発表済みの宝塚歌劇団は、劇団での稽古をしていない。6月に外出自粛が解除されるなら、7月の公演再開予定まで1か月間稽古できるため支障はないとみられる。