2020年3月23日
Techinsight
新型コロナウイルスの感染拡大で、世界各地からトイレットペーパーや消毒剤が品薄になっているというニュースが伝えられている。特にオーストラリアでは異常なほどの「パニック買い」が問題となっており、スコット・モリソン首相は18日、国民に対し「買いだめをしないで!」と呼びかけていた。しかし19日、商品がほとんどない大手スーパーで撮影された写真がSNSに投稿され、瞬く間に拡散している。
豪南東部ビクトリア州のメルボルン郊外にある高級住宅街ポート・メルボルンにあるスーパー「コールズ(Coles)」で19日の昼間、高齢の女性が空になった棚の前で立ち尽くす様子が捉えられた。この写真は『9 News Australia』のレポーター、セブ・コステロさん(Seb Costello)がTwitterに投稿、次のような言葉が添えられていた。
「缶詰が置いてあるはずの通路。女性は涙を流していたようだ。これは自己を優先する、不必要なパニック買いの煽りを受け、苦しむ女性を捉えた1枚だ。」
うつむいているため女性の表情はわからないが、通路の棚には数えるほどの商品しか残っていない。この写真は「#StopHoarding(買いだめは止めて)」とのハッシュタグとともにシェアされ、以下のような多数のリツイートが寄せられた。
「これは心が痛む。クレイジーだよ。」
「弱者に優しい社会であるべきなのに。これは間違っているよ。」
「この女性がどこに住んでいるのかわかれば、サポートしたい。」
「友達の92歳の母親は手に持っていたトマトの缶詰を他の客に奪い取られたそうよ。」
「もう買いだめは止めようよ。人として最低なんじゃないかな。」
「オーストラリアで働いているわ。仕事を終えてからスーパーに行っても何も残っていないの。こんな状態、いつまで続くの! みんな目を覚ましてよ。」
「悲しいね。この写真を撮った人が、女性の助けになってあげていることを願う。」
「自分の中に怒りを感じる。なんとかして!」
「自分もオーストラリア人。こんなニュースが流れるなんて、恥ずかしく思うよ。」
「パニック買い」で商品の品薄状態が続くオーストラリアでは、大手スーパー「ウールワース(Woolworths)」が16日、早朝の1時間を高齢者や障がいを持つ人々のためだけに開放すると発表し、他のいくつかのスーパーもこれに続いている。また生活必需品の1回の購入数を制限するなどの措置もとられているという。
しかしながら西オーストラリア州パースにあるスーパー「コールズ」では18日、13歳の少女がトイレットペーパーに群がる客達に踏み潰されて怪我をしている。モリソン首相はオーストラリア人の買い占めを「分別がなく、意味がない行動。危機に対するオーストラリア人の振る舞いの中では、過去に類を見ないほど失望させられるものだ」と述べていたが、果たして事態は改善されるのだろうか。こんな時であるからこそ、思いやりを持った行動が求められるのは言うまでもない。
画像は『Seb Costello 2020年3月19日付Twitter「Midday today.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)