2021年10月19日
朝日新聞デジタル
国内有数の主要ターミナル、東京・新宿駅で、今後26年にわたる大規模工事が始まる。
線路上に歩行者デッキをつくり、東西の広場をつなげる計画だ。同駅では戦後、ほぼ途切れることなく工事が続いてきた。背景には、様々な路線の乗り入れや周辺の開発に伴う利便性などの確保があり、「ターミナル駅の宿命」と専門家はみている。
東京都は7月、新宿駅の新たな整備事業を公表した。東西の駅前広場を改修し、東西をつなぐ歩行者デッキを線路上につくる。現在、小田急電鉄などが駅ビルの建て替えを予定しており、事業はこの計画と並行して進む。都区画整理課は「東西の人の流れをスムーズにし、複雑な駅の動線を分かりやすくしたい」と説明。デッキを結ぶ改札付近の工事を含め、2047年3月までの完了をめざす。
新宿駅はJRや私鉄など10路線以上が乗り入れ、地上・地下の改札や駅ビルなどが入り組む複雑な構造だ。そのため、改修や拡幅などが常に進められてきた。アパレル関連会社の社長(73)は新宿駅を長年利用してきたが、「入り口がどんどん変わり、今でもたまにまごつくことがある」という。
旧国鉄の資料などによると、最初の新宿駅は1885年に開業。乗客の利用増に伴い、ホームの拡張工事を繰り返した。1959年に現在の東京メトロ丸ノ内線の池袋―新宿間が開通。1960年代に京王線の改良工事や小田急線の立体化工事が続き、80年代もJR南口の拡幅工事や、埼京線のホーム整備があった。甲州街道の橋の架け替えに伴う線路の工事が、2001~09年の間に計8回実施された。
10代の頃から通勤や買い物で新宿駅を通る70代の男性は「よく使う自分なら駅の変化を追えるが、たまに来る人は戸惑うだろう。ずっと工事している印象がある」と話す。