2021年7月31日
毎日新聞
新型コロナウイルス感染拡大によりほぼ無観客開催の上、パブリックビューイングが軒並み中止となった今回の東京オリンピック。ある街の電器屋さんの前に置かれたテレビから流れる競技の映像に、道行く大勢の人が足を止めて見入る光景がSNS(ネット交流サービス)に投稿され、“昭和”をほうふつさせると話題になっている。前回の1964年東京五輪時の街頭テレビの写真や、「すごい昭和感!」「なんだかほっとする」などの声と共に拡散されている。
店は東京都大田区の「マツヤデンキ大岡山店」。69年に開店し、五輪の他にも甲子園や大相撲などのスポーツ開催に合わせ、店頭にテレビを置いてきた。今回も50インチほどのテレビを2台設置。29日に柔道男子100キロ級でウルフ・アロン選手が金メダルを獲得した瞬間は、40人以上が画面にくぎ付けになっていた=写真。
経営する山崎敦久さん(56)は「イチロー選手が活躍したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)以来の人。時差もないので他の五輪より多いと思う」。買い物帰りに足を止め、テレビを見つめていた男性(70)は「思わず拍手をしたらみんな拍手していた。一体感があった」と興奮した様子。人が集まったのは、ほんの10分弱。試合が終わると大半の人が家路に就いた。【写真・文 小川昌宏】