NASAが金星で2つの探査計画、温室効果など調査 28年から

2021年6月3日

ロイター

[ロサンゼルス 2日 ロイター] – 米航空宇宙局(NASA)は2日、2028─30年にかけて金星で2つの探査ミッションを行うと発表した。金星探査は約35年ぶりとなる。

「ダビンチ+」と名付けられたミッションは、温室効果のある高密度大気の組成測定を行うほか、その起源を解明する。「ベリタス」は軌道上から金星表面をマッピングし、地質学的な歴史を解明する。予算はそれぞれ約5億ドル。

地球から最も近い惑星である金星は、構造が似ているもののわずかに小さく、温度はかなり高い。二酸化炭素を主成分とし、硫酸を含んだ大気が広がっているため、温室効果により地表温度は摂氏約470度に上る。

金星にはかつて生命存在に適した海があったが、何らかの原因で極端な温室効果が進んだため蒸発したと考えられている。

NASAゴダード宇宙飛行センターの主任科学者、ジェームズ・ガービン氏は、金星について「気候変動の記録、居住可能性の進化、惑星が長期間にわたって表層の海を失った場合に何が起こるのかを読み解くための『ロゼッタストーン』だ」と指摘した。

NASAが1990年に探査機「マゼラン」を打ち上げ、金星全体の地図作成に貢献。94年に大気データを収集のため地表に降下し、ミッションを終えた。