2021年5月8日
AFPBB News
火星の希薄な大気の中を飛行している小型ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」のローターブレードが発する低音を火星探査車「パーシビアランス(Perseverance)」が初めて録音し、米航空宇宙局(NASA)が7日、その音声を公開した。
NASAは、4月30日にインジェニュイティが4回目の飛行実験を行った際の様子をパーシビアランスが撮影した最新映像を今回は音声付きで公開した。
3分近い映像は、ジェゼロ(Jezero)クレーターで風が吹いているざわめきから始まる。インジェニュイティが離陸し、往復で262メートルの距離を移動する間、ローターブレードが毎分約2400回転する低音がかすかに聞き取れる。
火星の大気濃度は、地球の約100分の1しかないため、火星は地球よりずっと音がしにくい。パーシビアランスは、インジェニュイティの離着陸地点から80メートル離れた場所で待機していたため、今回のミッションを担当しているエンジニアらはインジェニュイティの飛行音が拾えるかどうか確信を持てずにいた。
「これは実にうれしい驚きだ」と、仏トゥールーズ(Toulouse)にある航空宇宙高等研究所ISAE-SUPAEROの教授(惑星科学)で、火星用スーパーカム(SuperCam)のマイクを統括しているダビド・ミムン(David Mimoun)氏は述べている。「火星の大気のせいで音はかなり伝わりにくくなるため、テストとシミュレーションでは、あのマイクでインジェニュイティの音はほとんど拾えないだろうという結論を得ていた」と付け加えた。
ミムン氏はインジェニュイティの飛行音について、「火星の大気についての理解を深める上で情報の宝庫になるはずだ」と説明した。