2021年4月22日
食品新聞
三島食品が2月に発売した「ひろし」が売れている。年間販売目標(1万ケース)をわずか2か月でクリア。この間、工場はフル稼働し生産に追われたが、現在も出荷調整が続く。
「ひろし」は広島菜100%の混ぜご飯の素。主力品の“ふりかけ三姉妹(ゆかり、あかり、かおり)”に「初の男兄弟が登場?」などと、発売前からSNSで話題を集めていた。発売後は店頭で見つけた消費者が5個、10個とまとめ買いし売場から消えることも。評判を聞いたほかのスーパーから引き合いがあっても、供給が追いつかない状態となった。
「ひろし」はもともと、全国的に知名度の低い漬物、広島菜をアピールするというミッションとともに登場した。同社が発売に当たり公表したニュースリリースには「どこからも頼まれていないのに、勝手に広島菜大使を名乗っている」と記されていた。
商品発売後は実際に広島菜漬が通販などで動き、初めて食べたという消費者の書き込みもSNSで散見されるようになった。「“大使”の役割を少しは果たせたのではないか」(佐伯俊彦マネジャー)。
ネット、リアルの相乗効果
「ひろし」が好スタートを切った要因はネットだけではない。リアル店舗での販促策も後押しした。イトーヨーカドー横浜別所店は3月、ふりかけ三姉妹に「ひろし」「うめこ」を加えた5品を大陳し販売。昨年は4品で展開し実績を上げたことから、今回は新商品を加えて再び実施した。さらに、生鮮売場など店内随所でメニュー提案とともに関連販売を行った。
また、サミットは117店舗で、これら5品を対象にした人気投票を展開。それがまたツイッターで取り上げられ、さらに輪を広げた。こうした店頭での仕掛けが奏功し1人が2、3品、場合によっては全5品を購入し買い上げ点数を押し上げた。
「ひろし」の登場がネットとリアルの相乗効果を生み、主力商品を活性化させたことで同社の第1四半期(1-3月)は市販用の売上げが前年比106.1%と伸長。目標もクリアした。
一方、供給面においては課題を残す。「ひろし」の需要が予想以上に高まったことで、当初の原料調達計画を見直さざるを得なくなった。原料の供給先に追加栽培を依頼するとともに、同社が広島県北広島町に持つ自社農園では、広島菜の春栽培を初めて行うことを決めた。