2021年3月31日
デイリー新潮

昨年7月、Twitterの何気ないつぶやきがきっかけで、爆発的に売れ始めたココア味の麦芽飲料「ミロ」。需要に供給が追いつかず、9月と12月に一時販売を休止し、今年3月1日から販売を再開している。もともと、ミロは世界30カ国以上で販売されている商品だ。特に、東南アジアで圧倒的な人気があることをご存知か。
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日本でミロの人気に火が付いたのは、昨年の7月。女性のTwitterがきっかけだった。
《貧血の皆さま―。ミロ飲んでみてください―!鉄分が平均の1/7しかないと指摘された私でも、ミロ飲んだら平均値になりました―!》
貧血に悩む女性が反応して、SNSでミロ情報が拡散。さらに8月、こんなTwitterも。
《毎朝ミロを飲み始めて1か月、寝起きが爆裂良くなり、24時間常に疲れてだるかった身体が軽くなり、趣味すらやる気が起きなくて鬱々してた気分がスッキリ爽快!》
この投稿が約3万件リツイートされたという。
“ミロ活”
「複数のTwitterがきっかけで、お客様の間で書き込みが拡散し、“ミロ活”という言葉も生まれました」
と解説するのは、ネスレ日本の広報担当者。
日本で販売されているミロは、240グラムと700グラムの袋入り、スティックの3タイプだ。
「一気に需要が増えたため、240グラムの商品が品薄となり、9月末に販売を中止。11月16日に販売再開しましたが、11月半ばから12月にかけてさらに注文が増え、前年同月比で7倍にも達したため、供給が追い付かず、12月8日にミロのすべての商品の販売を中止しました」(同)
日本で販売されているミロは、シンガポールの工場で生産されたものだが、供給体制を整え、今年3月1日から販売を再開した。
もっとも、マレーシアやシンガポールなど、東南アジアでのミロの人気ぶりは日本の比ではない。特にマレーシアでは、ミロはハラール(イスラム教で合法とされるもの)に認可され、世界一の消費国となっている。ではなぜ、東南アジアでミロが大量消費されるのか。
「ミロは1934年、オーストラリアで生まれました。当時、大恐慌で貧しい食事と低栄養に苦しんでいたオーストラリアの子どもたちのために、ネスレオーストラリアの科学者トーマス・メインが開発したのです。その後、世界30か国以上で販売されています」
とは、先のネスレ日本の広報担当者。
「東南アジアでは、ミロのことを『マイロ』と呼んでいますが、オーストラリアとは地理的に近いので、早くから定着したと思われます。中でもマレーシアでは1950年に販売開始され、国民的飲料として親しまれています」
「ミロ・ダイナソー」
マレーシアでは、1日になんと900万杯のミロが消費される。ちなみに、ミロが日本で販売開始されたのは1973年である。
「ミロは、カルシウム、鉄、ビタミンDなどが豊富に含まれる栄養機能食品で、基本的に成長期の子どもの飲み物です。東南アジアでは、栄養不足を補うために、大人も飲んでいます。ミロの菓子やアイスクリームなども販売されています」
ネスレは、2019年に9000万リンギット(約23億円)を投じ、マレーシアのヌグリスンビラン州チェンボンにあるミロ工場を拡張した。年産能力は10万8000トンの、世界最大規模の生産工場となった。
シンガポールでも、ミロは不動の地位を確立している。「お気に入りブランド調査」(2017年)では、シンガポール航空やセブン―イレブンを抑えて1位に。水や牛乳で溶かしたミロの上に、ミロの粉末をトッピングした「ミロ・ダイナソー(恐竜)」という名物飲料もある。
東南アジアの人々からすれば、日本のミロ人気はまだまだ序の口ということか。
デイリー新潮取材班
2021年3月31日 掲載