リニューアルでどうなった? えちぜん鉄道「きょうりゅう電車」 車内外とも恐竜尽くし

2020年12月7日

乗りものニュース

「きょうりゅう電車」内に設置されたフクイラプトルのモニュメント(2020年11月、蜂谷あす美撮影)。

えちぜん鉄道勝山永平寺線の終点 勝山には、福井県立恐竜博物館があります。誘客を図ろうと同線で2014年に運行開始した「きょうりゅう電車」がこのたびリニューアルされました。車両は恐竜尽くし。どんな様子だったのでしょうか。

リニューアルされた「きょうりゅう電車」 なぜトリケラトプスは頭だけ?

 2020年11月22日(日)と23日(月・祝)、えちぜん鉄道のリニューアル版「きょうりゅう電車」が勝山永平寺線(福井~勝山)を走りました。

 福井県は恐竜の化石の産出において国内随一。勝山永平寺線の終点、勝山には世界三大恐竜博物館に数えられる福井県立恐竜博物館があり、同社では列車の1日乗り放題券や博物館入場券などがセットになったお得なきっぷも発売しています。

 きょうりゅう電車は2015年春の北陸新幹線 金沢駅開業を見据え、誘客を図るコンテンツの一つとして前年の2014(平成26)年に運行を開始しました。平年であれば土休日やゴールデンウィーク、夏休みなどに走っていますが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響から、今回がリニューアル後のお披露目も兼ねた初めての運行となりました。

 2両編成の列車外観には「DINOSAUR EXPRESS」のヘッドマークが掲出され、シンプルながらもいつもとは違う雰囲気が醸し出されています。列車に乗り込むと、車内でトリケラトプスの頭部モニュメントが口を開けて待ち構えており、あまりの精巧さゆえ筆者(蜂谷あす美:旅の文筆家)はちょっとびっくりしました。車内にはほかにフクイラプトル、ティラノサウルス(頭部)と計3体の恐竜がいました。

「しかしなぜトリケラトプスとティラノサウルスは頭部だけなのだろうか」

 筆者の素朴な疑問に同社営業開発部部長の佐々木大二郎さんは「列車のドアから入る大きさとして、頭部がギリギリだったからです」と答えてくれました。「きょうりゅう電車」は専用の車両ではなく、通常は普通列車として運行されている車両が充当されています。そのため、モニュメントたちは“着脱式”の必要があるのです。

2023年度には「専用の」きょうりゅう電車を導入予定

 ティラノサウルスは実寸大、残り2体は実寸大より少し小さめとのこと。また、車内を見渡すと、座席が福井県の恐竜ブランドキャラクター「ジュラチック」の背もたれカバーなどで装飾されており、着脱式とはいえ特別な列車としてのムード抜群でした。もちろん車内がにぎやかな分だけ「準備は大変」とのこと。また、同社は30分おきに列車を運行していることから、「きょうりゅう電車」をはじめ貸切列車を運行できるダイヤはあらかじめ決められているそうです。

「きょうりゅう電車」のアテンダントは、サファリ風の衣装に身を包む(2020年11月、蜂谷あす美撮影)。

 列車は、福井駅を午前9時47分に発車後、運転停車を除いてノンストップで終点の勝山駅を目指します。サファリ風の衣装に身を包んだアテンダントの元気なアナウンスやテレビモニターでの恐竜クイズなど、乗車中のお楽しみコンテンツも盛りだくさん。これらの映像やアナウンスは、恐竜博物館が監修しています。

 午前10時30分、43分の旅を終え勝山駅に到着した列車は、恐竜博物館行きのバスに乗り換える人たちを見送ったのち、回送列車として福井口駅横の車両基地に帰っていきました。夕方からは普通列車として運行されます。

 えちぜん鉄道では、2023年度の運行開始を目指し、専用の「きょうりゅう電車」導入を進めています。今以上に“恐竜感”のアップした列車の登場が楽しみです。