SixTONES・松村北斗、俳優としての魅力に迫る

2020年10月22日

ミュージックヴォイス

 現在放送中のドラマ『一億円のさようなら』(NHK BSプレミアム)で、主人公・加能鉄平(上川隆也)の若き日を演じているSixTONESの松村北斗。2019年に放送された『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)で好演し、今年放送された『10の秘密』(フジテレビ系)の“謎のピアニスト”伊達翼役でも話題に。2021年には、森七菜とのW主演映画『ライアー×ライアー』が公開されるなど、ブレイクの兆しを見せている。今回は、そんな彼の俳優としての活動を役柄とともに振り返っていく。

 2012年に放送された『私立バカレア高校』(日本テレビ系)に、SixTONESのメンバーとともにドラマ初出演すると、同年放送の『黒の女教師』(TBS系)で、物語のキーマンとなる謎の転校生・戸田トシオ役に抜擢。映画『バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ』(2016年)では、同じグループのジェシー、田中樹とともに映画初主演を果たした。

 彼の転機となったように感じるのが、ドラマ『パーフェクトワールド』への出演だ。松村が演じたのは、主人公の鮎川樹(松坂桃李)と同じ設計事務所で働く渡辺晴人。足に障がいを抱え、義足で生活を送る青年という難役に挑戦した。

 普段は人見知りな松村だが、同作で演じた晴人は、明るいムードメーカーという真逆の性格。役作りのために、トレードマークの黒髪を明るい茶髪にしたことも、彼のひとつの転機となったのかもしれない。SixTONESのメンバーから、「普段の性格が明るくなった」と言われたことを明かしていたが、YouTubeなどで、より楽しそうに盛り上がる姿を見せるようになったのも、この頃のような気がする。

 撮影では、晴人が車椅子バスケットボールチームに所属している役柄なこともあり、技術的な面でも努力が必要だったことだろう。それだけでなく、圧倒的な“ポジティブさ”の裏に抱えている“孤独”。相反する二つの顔を繊細に表現することにも、演じる難しさがあったと思う。

 なかでも、前向きに生きていると思われた晴人が、4話で「障がい受け入れるとか、乗り越えるとか、無理なんだって。平気なふりして生きてるだけなんだって!」と感情を露わにしたシーンが印象に残っている。周囲を盛り上げる底抜けの明るさから、裏側に抱えている苦しみに至るまで、同作では幅のある演技を見せていた。

 そして、『パーフェクトワールド』での演技が評価され、河西秀幸プロデューサーからオファーを受けたのが、『10の秘密』だ。松村は、白河圭太(向井理)の娘・瞳(山田杏奈)の音楽仲間である伊達翼を演じた。翼は序盤、“謎のピアニスト”という情報しか与えられておらず、瞳が誘拐された当日に会う約束をしていたことから、容疑者として捜索されることに。

 この作品で、松村の“闇”の部分の表現力に感銘を受けた。ピアノを弾いているカットだけで、怪しい雰囲気を醸し出し、SNS上で、「翼くん怪しい」と容疑者候補に挙げられるなど、視聴者に“謎の男”のイメージを植え付けることに成功した。黙っているだけで雰囲気を出せることは、今後シリアスな演技をする上で確実にプラスとなる要素だろう。

 繊細な表情や、醸し出す雰囲気は、天性のものもあるのかもしれないが、俳優・松村北斗は、“努力の人”のように感じる。『パーフェクトワールド』では、スケジュールの合間を縫って、車椅子バスケの練習に励み、『10の秘密』でも、実際に弾けるレベルになるまで、ピアノを猛特訓するなど役作りに余念がない。そんな松村の役者としての成長が、SixTONESの進化にも必ず繋がるはずだ。「あの子ジャニーズなの!?」と驚かれる演技力を、これからも視聴者に見せつけて欲しい。【かなぴす】