直進できるのに「右折専用」、間違い標識344か所…確認せず反則金18万円

2020年9月27日

読売新聞オンライン

 直進できるのに「右折専用」とするなど、兵庫県内の交差点344か所の道路標示で誤表示が見つかった。

 長年にわたり、県警が確認業務を怠っていたことなどが原因とみられる。(鈴木彪将、西海直也)

 「道路標示が間違っているなんて思いませんよ」。神戸市中心部の繁華街にあり、多くの車が行き来する大丸前交差点(神戸市中央区)。2車線の右側には、「右折専用」を示す矢印が塗装されている。だが県公安委員会の決定では、直進も可能だった。周辺の商店主や商品の搬入などで利用する運送業者らが道路標示を疑う余地はなかった。

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 県内344か所に及んだ大量の誤表示。見つかったきっかけは、今年7月、県警加古川署に寄せられた市民の問い合わせだった。

 同県加古川市の寺家町商店街近くにある小門口南交差点(加古川町)は片側3車線で、道路標示は、右から「右折専用」、「直進」、「直進と左折可能」。日中は約50メートル先の交差点に向けて車列で混雑することもあり、疑問に感じた市民から進行方法について質問があった。

 署が県公安委員会の決定書面などで確認してみると、「右折専用」は誤りで、実際は直進もできることが分かった。さらに、道交法違反(指定通行区分)で2人に反則切符を交付していた。

 この交差点は元々は2車線で、拡幅工事をした際、誤った道路標示を塗装した可能性が高いという。近所に住む50歳代男性は、「警察もしっかりしてほしいものだ」と注文をつけた。

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 県警は県内の交差点4296か所で一斉調査。344か所の誤表示と、30人から反則金(計18万円)を誤徴収していた。うち2人は、優良運転者(ゴールド免許)で、違反で青色に「格下げ」されていたことも判明。反則金還付などの手続きを進めている。

 大量の誤表示がみつかった背景には、県警が長年、確認業務を怠っていたことが大きい。県警の内規などでは、信号や標識などの交通安全施設について、異常の有無を常時点検するよう定めている。点検は道路標示も含まれ、誤表示のあった交差点では、補修工事後など確認する機会は何度もあったが、放置され続けてきたという。

 県警交通規制課は、「これだけの誤表示があったことは遺憾。ご迷惑をおかけして申し訳ない」と陳謝。「内規に沿っていれば絶対に起きるはずがなかった。今後は実効性のある点検方法を構築し、二度と起きないようにしたい」としている。

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