「宿仏習合」ホテルと一体化し寺再建 1階が寺院、ロビーで所蔵品展示も 京都

2020年9月23日

毎日新聞

 京都市下京区の寺町通沿いにある浄土宗寺院「浄教寺」が、9階建てのホテルと一体化して建て替えられた。従来も境内にホテルが建てられた例はあるが、関係者は「お寺とホテルが一体化した建物は、国内に例がないのでは」と話す。完成した「三井ガーデンホテル京都河原町浄教寺」は28日に開業する。【矢倉健次】

檀家減少の時代「解決先例に」

 浄教寺は平安時代に平清盛の長男・重盛によって創建されたとされ、1591年に豊臣秀吉の洛中寺社整理で現在の場所に移転した。3年前に着任した光山公毅住職によると、築約200年を経過した伽藍(がらん)の再建は耐震性の問題などから急務となっていた。ただ、檀家(だんか)は100軒程度しかなく「なるべく負担をかけずに寺を維持する方法はないか」と相談した金融機関の仲介で、三井不動産からプロジェクトが持ちかけられたという。

 建物の1階は、ホテルのロビー・事務所と寺院にエリアが分かれる。ロビーは建て替え前の堂宇にあった装飾品や瓦、古木などが調度品として再利用され、寺院を意識したアート作品も並ぶ。小窓から鎌倉時代の作と伝わる本尊・阿弥陀(あみだ)如来が安置された本堂内部を見ることもできる。上層の各フロアには、寺所蔵の墨絵の掛け軸を基にしたアート作品も展示され、167の客室のうち3室は畳敷きの和風になっている。

 宿泊者の「朝のお勤め体験」なども企画されており、光山住職は「お寺の問題を解決する一つの事例になれば」と話した。