2020年8月6日
CNN.co.jp
(CNN)南極大陸の衛星画像から、コウテイペンギンの集団繁殖地(コロニー)が新たに11カ所発見された。英国南極観測局(BAS)の研究チームが専門誌に発表した。
南極大陸で見つかったコロニーは61カ所となった。研究者らは過去10年間、米人工衛星ランドサットのデータを使い、氷の上に残ったふんの跡を手掛かりに新たなコロニーを探してきた。
BASのチームは今回、欧州の地球観測プログラム「コペルニクス」の衛星、センチネル2からの高解像度画像を調べた。その結果、コロニーの数は一気に2割近く増えたことになる。
チームは今後さらに観測の焦点を絞り、コロニーにすむペンギンの数を把握する計画だという。
コウテイペンギンの繁殖には海氷が不可欠とされる。繁殖地は気温がマイナス50℃にもなる過酷な環境で、人間は近づけないことが多い。その海氷が気候変動の影響で減少することは、ペンギンにとって大きな脅威だ。
チームによると、新たなコロニーはどれも生息域の端に位置し、いち早く消えていくことが予想される。今後も気候変動の影響を注意深く見守る必要があると、研究者らは指摘する。
コウテイペンギンの生息数は50万羽程度とされてきた。コロニーの発見によってこれが5~10%増えたと考えられるが、今世紀末までには全体の約8割が死滅するとも予測されている。
チームを率いる研究者は「海氷は一度解けたら元に戻らない。コロニーごとに何をしようと、ペンギンを救う手立てはない。地球全体の問題だ」と強調した。