水泳後は「お腹が減ってたくさん食事を摂ってしまう」ことが判明、ダイエット効果はそれほど高くない可能性

2020年7月18日

GIGAZINE(ギガジン)

水泳は全身の筋肉を使う運動で、消費カロリーが高く、膝にかかる負荷が少ない上に、心肺機能まで鍛えられるというさまざまなメリットがあります。しかし、イギリスのラフバラー大学傘下の国立スポーツ運動医学センターのチームが実施した実験によって、「水泳はサイクリングに比べておなかがすいてたくさん食事を摂ってしまう」と判明。ダイエット効果は高くない可能性が示唆されています。

国立スポーツ運動医学センターの研究チームが行った実験は、「水泳とサイクリングではどちらがおなかが減るのか」を調べるというもの。研究チームは、20歳以上40歳未満の肥満かつ持病のない被験者32人(男性17人、女性15人)を対象に、「水泳」「サイクリング」「運動しない」という3種の活動をそれぞれ行ってもらった後、食欲と食事量をチェックするという実験を行いました。

なお、水泳・サイクリング・運動しないという3種の活動を行う日は4日以上の間隔を開け、活動の順序によって影響が出ないように求められました。また、女性は月経周期によって食欲が増減するため、それぞれの活動を行う日は月経周期上で同じ日になるように調整されました。

それぞれの活動を行う日は、食事メニューや活動スケジュールなどが細かく決められました。8時45分から9時は朝食の時間で、食事メニューはイチゴジャムサンドイッチ・クロワッサン・オレンジジュース。朝食後は食欲について自己申告し、朝食から1時半後に運動を開始します。運動は、運動強度が「強」のレベルの水泳・サイクリングが、8分間の運動+2分間の休憩の組み合わせで6セット、合計1時間実施されました。

運動後30分の休憩を置いた後、被験者には満足するまで好きなだけパスタを食べてもらいました。それぞれの運動後に被験者が食べた量を調べたところ、水泳後にはサイクリング後に比べて平均して約142kcalに相当するパスタを余分に食べると判明。水泳とサイクリングでは水泳のほうが消費カロリーが高いものの、運動後の食事も合わせて考えるとサイクリングのほうがむしろ消費カロリーが多いという結果になりました。

なお、サイクリング後と「運動しない」後の差は平均して約94kcalでしたが、研究チームは「この差は小さすぎて統計的に有意ではない」と述べています。男女間の比較では、男性も女性も運動後により多く食べてしまう傾向は変わらなかったとのこと。研究チームは女性は運動中に消費するエネルギーが少ない傾向があることを挙げて、「運動後により多くのカロリーを摂取してしまうのならば、運動によるエネルギー消費の少ない女性の場合は、体重管理に運動が効果的だとはいえない」と指摘しています。

「なぜ水泳を行うとおなかが減るのか?」という疑問について、水に入ることで体温が失われることから、「体温の回復に必要なエネルギーを摂取するために食欲が増進される」という可能性や、「脳の信号と神経伝達物質の変化が食欲を増進させる」という可能性を研究チームは挙げながらも、「詳しい原因は不明」と述べています。

研究チームは、水泳は他の運動に比べてダイエット効果が優れているわけではない可能性があるとしつつも、水泳には多数の健康効果があると称賛して、「水泳後にたくさん食事を摂ってしまう可能性を認めて、スナックを食べたくなる誘惑や食事量を増やしたくなる誘惑に抵抗すべき」とアドバイスしました。

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