2020年7月12日
ウェザーニュース
湿気の多い梅雨どき、とくに今シーズンは外出自粛や在宅ワークなどにより自宅で過ごす時間が増え、それに伴ってキッチンまわりやトイレなど、「おウチの匂い」がこれまでより気になるのではないでしょうか。そこで出番となるのが、芳香剤と消臭剤です。ウェザーニュースで「消臭剤・芳香剤を置いていますか?」というアンケート調査を実施したところ、「両方置いている」が28%、「消臭剤のみ」が33%、「芳香剤のみ」が12%と、約4人に3人が自宅で消臭剤、芳香剤を使用していると回答しています。
ところが、それらは置き場所によって、効果に大きな差が生じるといいます。芳香剤と消臭剤はどこに置くのが正解なのか。医薬品や消臭剤・芳香剤などの総合メーカー、小林製薬に伺いました。
“空気の通り道”と“空気だまり”の位置を把握
「消臭剤・芳香剤はただ置くだけでなく、いくつかのポイントを抑えるだけで、効果を最大限に発揮させることができます。置き場所次第で、効果に約3倍の差が生じるという研究結果も出ています。まず、住宅内の空気の入り口と出口、つまり“空気の通り道”を把握する必要があります。同時に、空気が通りにくく滞留しやすい“空気だまり”を見つけることもポイントです」(小林製薬)たとえば、玄関は長時間閉めたままだと空気が流れにくく、ごみ箱近くやキッチンの生ごみなどは要注意。意外に空気がたまりやすいのが、部屋の隅。ふだん、ほこりがたまりやすい場所が“空気だまり”の可能性が高いそうです。「家の空気の流れや匂いのたまりやすい場所が把握できたら、消臭剤と芳香剤の用途に応じた使い分けを考えます。悪臭を無臭化したりマスキングしたりして匂いを消してくれるのが『消臭剤』、アロマオイルなど香りを楽しむ嗜好(しこう)アイテムが『芳香剤』、両方の性質を併せ持つのが『芳香消臭剤』です」(小林製薬)
消臭剤は「発生源の近く」が基本
「消臭剤の効果的な置き場として、3つのポイントがあります。まず、匂いの発生源のすぐそばに置くこと。無風状態であれば、悪臭は発生源の周辺、しかも狭い範囲に留まるという特長があります。消臭効果を高めるには、匂いを発するごみ箱や下駄箱などの近くに消臭剤を置いてください。次に、空気がよどみやすいところに置くこと。明確な発生源がなくとも、キッチンや部屋の隅などの“空気だまり”には生活臭がたまりがちです。そこに消臭剤を置くことで、拡散を防ぐことができます。最後に、足元などの低い位置に置くことです。匂いは空気よりも重い成分のものが多いといわれています。空気の流れにもよりますが、消臭目的の場合、基本的には低い位置に置くと効果的です」(小林製薬)小林製薬では、カウンターキッチンのLDKのモデルを使い、生ごみの悪臭成分である硫化水素(H2S)を発生させて、消臭剤の置き場所によって匂いがどのように分布するかの実験を行いました。その結果、「A:消臭剤なし」の場合は匂いがリビングまで広がりました。「B:キッチン横に設置」すると、リビングまでの広がりは抑えられましたが、キッチンには悪臭が漂っていました。「C:匂いの発生源の近くに設置」すると、悪臭の広がりはほぼ完全に抑えることができました。キッチンの足元で図った数値では、Aが2.0ppm、Bが1.3ppm、Cだと0.4ppmまで下がりました。なお、はっきりわかる強い悪臭とは、0.7ppm以上だそうです。
芳香剤は「鼻の高さ」で
「『香りアイテム』である芳香剤の場合は、風上に置き、風の流れを利用して拡散させるのがポイントです。窓やエアコンなどの近くがいいでしょう。また、香りは鼻に近いほど感じやすいので、鼻と同等の位置に置くと効果的に香りを楽しむことができます」(小林製薬)それでは、消臭剤と芳香剤を一緒に置いても大丈夫なのでしょうか。「互いに打ち消し合うのではと思われるかもしれませんが、大丈夫です。消臭剤は、ある特定の悪臭に反応するように設計されているものです。芳香剤の『いい香り』には反応せず、その香りの効果を妨げることはありません」(小林製薬)消臭剤と芳香剤、もちろん芳香消臭剤の開発にあたっては、消臭効果や香りと悪臭の相性分析など、さまざまな研究が重ねられているそうです。置き場所のポイントを抑えて、消臭効果を実感し、香りを楽しみましょう。