手越祐也はなぜ今になって処分されたのか?《ジャニーズが17年間、甘やかし続けた本当の理由》

2020年6月1日

文春オンライン

 5月26日、ジャニーズ事務所は異例の長文のコメントで、アイドルグループ「NEWS」手越祐也(32)の芸能活動自粛を発表した。手越が緊急事態宣言下に女性らと飲み会を実施していたという「週刊文春」と「文春オンライン」の報道を受けての処分だ。その発表文の中でジャニーズ事務所はこう書いている。

《今回の出来事につきましては、ひとえに本人の自覚の欠如によるものではございますが、所属事務所といたしましては、本人に対して他の所属タレント以上に、仕事は個人で行うものではなく、関係してくださる多くの方々に対する配慮の上に成り立つため、行動には十分気を付けるよう、これまでに繰り返し伝えてまいりました。しかし、今日に至るまで本人に理解させることができず、ファンの皆様や関係者の皆様には大変申し訳なく、責任を感じております》

 これまでもジャニーズ事務所は手越に対して他のタレント以上に厳しく指導してきた、としているが、これは事実とは言えないだろう。むしろ、2002年1に15歳で入所した“少年・手越”をここまでスポイルしたのはジャニーズ事務所の甘すぎる管理体制にあった。17年かけてジャニーズ事務所は32歳の“裸の王様・手越祐也”を作り上げたのではないか。

交通事故を起こしても「譲ってくれると思った」

 振り返れば、数多いるジャニーズ歴代タレントの中でも手越ほどたくさんのスキャンダルが報じられたタレントはいない。たとえば、2010年に手越は交通事故を起こしている。

「『週刊文春』(2010年4月8日号)では、手越さんが起こした交通事故について報じています。港区で食事を終えた手越さんは、アストンマーチンに乗りパーキングから出ようとしたところをタクシーと衝突。『目があったから譲ってくれると思った』と手越さんは話していたそうです。『なんなんだよー』『ぶつかってるじゃんよー』と叫んでいたそうです。当時も自分が悪いのではなく、タクシー運転手のせいにしていました」(当時を知る記者)

 いまから10年前のことだ。このあたりから手越は週刊誌の常連になっていく。特にアイドル女性とのスキャンダルは枚挙に遑がない。

みたままつり、温泉、AKBにSKE……

 特に、AKB48グループメンバーとのスキャンダルは多かった。乱倫ぶりを示したのが、元SKE48メンバーで、現在はAV女優の三上悠亜(26・当時は「鬼頭桃菜」として活動)との泥酔キス写真(「週刊文春」2013年7月18日号)。そして、AKB主要メンバー・柏木由紀(28)との温泉旅行密着写真(「週刊文春」2015年6月18日号)。

 2014年の靖国神社「みたままつり」では、派手な金髪に特大のサングラスをかけ、芸能人オーラ全開で登場するなど、手越の私生活の派手さはジャニーズの中でも図抜けていた。靖国神社でも手越は早々にファンに発見され、100人ほどに囲まれると、“手越コール”に見送られながらタクシーで走り去ったのだった。

「柏木さんだけでなく先輩の人気選抜メンバーの名前も」

 元ジャニーズ事務所所属タレントが話す。

「僕が手越さんから『付き合っている』と聞いたのは、柏木さんだけでなく先輩の人気選抜メンバーの名前でした。他にも、あまり有名でない中堅メンバーとも関係を持ち、NMB48といった地方のメンバーを持ち帰ることもあった。まさに48グループで手越さんは“無双状態”でした。48グループのメンバーには運営側から“手越禁止令”なるものが出たこともあったと聞きます。飲み会から持ち帰ることはもちろん、カラオケバーで翌日の昼まで飲み続け、ずっとイチャついていることも多く、本人も『何人と関係あったか覚えてない』と言っていました。ちなみに柏木さんとは、今もいいお友達関係だそうです」

 AKBグループ関係者は「大事な商品に手を出されては堪らない」と手越の所業を問題視していたが、それでも“無双状態”は許されていた。なぜなら手越の背後にはジャニーズの絶大な政治力があったから。手越はその権力の中心にいた当時のジャニーズ副社長・藤島メリー泰子氏の“虎の威を借る狐”だった。

泥酔キスについてメリー氏は「店が悪い」

 前出の当時を知る記者は「手越さんが事務所にこれほどまでに可愛がられているのかと驚いたことがありました」と語る。

「鬼頭桃菜さんとの泥酔キス写真について、ジャニーズ側に事実確認を求めると、『メリーさんが直接対応するから事務所に来て下さい』という。事務所でメリー氏が私に語ったのは、『手越は記憶がなかったと言っている。そんな店に連れていった仲間が悪いし、テキーラを飲ませる店が悪い』と述べたのです。『店が悪い』という理屈には、私も驚きましたし、呆れました。

 手越さんは“お咎めナシ男”だと言われてきましたが、そのウラには間違いなくメリーさんの寵愛があったと思います。彼はとにかく人たらし。そんな彼のことがお気に入りで、可愛がっていたのは、メリー氏だけでなく、当時の社長のジャニー喜多川氏もそうだったと聞いています」(同前)

 2018年には同じNEWSのメンバー・小山慶一郎(36)と加藤シゲアキ(32)が未成年者と飲酒していたことが表沙汰となったが(「週刊文春」6月14日号)、この間も手越の“夜遊び火遊び”は止まらなかった。

「この時、ジャニーズ事務所は小山を一定期間の活動自粛、加藤を厳重注意の処分に付すことを発表しています。小山さんはキャスターとして出演していた『news every.』(日本テレビ系)の冒頭で『報道番組としてさまざまなニュースをお伝えし、時には厳しい意見も述べてきたニュースエブリーのキャスターとして、不適切であることは言うまでもありません。本当に申し訳ありませんでした』と10秒以上頭を下げて謝罪。しばらくの間、出演を見合わせ、最終的には降板した。

「未成年女性が悪い」という的外れな批判も

 加藤さんは出演していた朝の情報番組『ビビット』(TBS系)で、『私事で申し訳ございません。この度、私が訪れた飲食の場で同席していた20歳とお聞きしていた女性が、実際には当時19歳であることがわかりました。そして、飲み物をあおるような掛け声を止めることができなかったこと、深く反省しております。この『ビビット』でさまざまな物事に関してコメントしてきたことを思うと、情けない気持ちでいっぱいです。情報番組に関わる者として自覚が足りなかったと思います』と謝罪をしていました」(スポーツ紙記者)

 しかし、同年に手越は同じく未成年者との飲酒が報じられている。だが手越は一切、お咎めなし。手越が未成年女性らとカラオケに興じる動画も報じられており、事務所の先輩である嵐を小馬鹿にするような替え歌も話題になったが、ジャニーズ事務所は無視を決め込んだ。

「ジャニーズが手越を守ったこともあり、オリキ(熱狂的なファン)の間では『一緒にいた未成年女性が悪い』という声もありました。もちろん、判断能力のない10代の女性を酒の席に呼んだ手越さんも含めた大人の側に責任がある。一方で当時から徐々に『なぜ手越だけがお咎めナシなのか』という反対意見も上がるようになりました。

 メンバーが謹慎しようが、手越さんは平気の平左で、その後も遊びに繰り出していました。外に出ると目立つからと、自宅に女性を呼んだり、行きつけの地方の会員制バーにも顔を出していた。名古屋や福岡には手越にガールズを手配してくれる親しい友達がいるのです。VIP待遇で遊んでいました」(前出・当時を知る記者)

 週刊文春デジタルでは2018年の9月と11月にも手越が“違法飲酒事件”を起こしていたことを報じたが、これについても事務所はスルーだった。

「この頃から手越さんの遊び方は、ラウンジからバーへ女性を連れ出し、朝まで飲み明かすというのがお決まりになりました。さらに地方で遊んでいる最中には揉め事などのトラブルも起こしていたとも聞いています。このあたりから事務所も手越さんを“問題児”だと扱うようになっていったようです。『ジャニーズを辞めたい』と手越さんがボヤくのを聞いたことがありますから」(前出・手越を知る友人)

 2018年は元TOKIOのメンバーが強制わいせつ事件を起こして事務所を退所した年でもある。2015年にメリー副社長(当時)のロングインタビューが週刊文春に掲載され、2016年にメリー氏独裁体制への反発からSMAPが解散。ジャニーズのパワハラ的な企業体質は問題視され、大きく転換していった。そんな中で、手越を守り切れなくなったというのが、今回の芸能活動自粛処分の本質なのではないか。

後ろ盾を失った“裸の王様”

「決定的だったのは、2019年にジャニーさんが他界して体制が変わり、メリーさんの娘の藤島ジュリー景子さんが社長に、元タレントの滝沢秀明さんが副社長になったことです。メリーさんはいまだ会長に鎮座していますが、もう前面に出てくることはなくなった。それによって、ジャニーズタレントの綱紀粛正のムードも高まりました。

 今回の処分のウラには、滝沢さんと手越の人間関係があるのではと勘繰る向きもありますが、実際には、“裸の王様”手越を甘やかしてきたジャニーさん、メリーさんという後ろ盾がいなくなったことが一番の原因なのです」(ジャニーズ事務所関係者)

 そんな移ろいゆくジャニーズに対して、手越は怒りと失望を覚えているようだ。別の友人はこう話す。

「手越くんは怒りをむき出しにして、『こんな事務所はもう辞める!』と話していました。もともと手越くんは、28歳の頃に『ジャニーズは30歳まで』と話していた。さらにグループの人数が減り、年齢が30歳を超えても活動する『KAT-TUN』を見て馬鹿にすることもあった。『外見もカッコよくない』と。

「オレは嵐と並ぶトップクラス」

 自分はこうなりたくないと思っていたのでしょう。自己評価が高い手越さんは、自身のことを『オレは嵐などと並ぶ一流の扱いを受けても良いのに、なぜ1.5流のような扱いを受けるんだ』とお酒を飲むたびにボヤいていた時期もある。自分が今のジャニーズ事務所内でトップクラスだと思っているが故に、そんな自分を特別扱いせずに活動自粛処分にした事務所が許せないのでしょう」

 だが、NEWSだけは自分の居場所だった。

「自分が1番で他のジャニタレを下に見たり馬鹿にする手越さんですが、NEWSだけは自分の居場所だと感じていたようです。『NEWSがあるからオレは東京ドームに立てるんだ』『NEWSがあるからこそ自分が輝ける』と、しみじみ話すこともありました。それはしっかり他のNEWSのメンバーにも伝わっていた。NEWSの4人は仲が良かったんです。

 地方へライブに行った際には、4人だけでお酒を飲むこともあった。プライベートでも飲むことがあるようで、酔っ払った時には、メンバー同士で耳を舐めるとかふざけ合うことが出来るような仲でした」(別のジャニーズ事務所関係者)

 はたして手越はジャニーズを去るのか。そして、NEWSはKAT-TUNと同じ道をたどるのか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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