TOKIO長瀬が探る「俳優事務所」、嵐とコロナの「番狂わせ」、錦戸・赤西「テレビとの遠い距離」

2020年3月27日

文春オンライン

「中居さんに、『もしかしたらこれから辞める後輩たちが所属したがるんじゃないですか?』と訊いたら、『そーんな甲斐性、オレないよ。ひとりだってどうなるか全然わからないのに!』って笑って即答だったそうです。中居さんは、ああ見えて結構堅実なタイプ。独立してみて体制が整うまでは、他人を預かるなんて考えられないってことなんでしょう」

 そう話すのは、民放テレビ局スタッフ。カウントダウン状態の、中居正広(47)のジャニーズ事務所退所。4月からは個人事務所「のんびりな会」が始動する。

 そしてこれから、中居を手本にしてさらなる「ジャニーズ退所」が続くのではないかと見られている。

独立しても中居の“冠番組”は継続

 昨年7月9日、ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏が亡くなった。名プロデューサーでもあり、ジャニタレたちの親代わりでもあった存在がこの世を去ったことで、事務所の求心力は弱まっているのだ。

 しかし、中居がここ数年来ジャニーズを退所するいわゆる「辞めジャニ」タレントのなかでは群を抜いた存在であることは明らかだ。

「ザ!世界仰天ニュース」、「新・日本男児と中居」(ともに日本テレビ系)、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」、「中居くん決めて!」(ともにTBS系)、「中居正広のニュースな会」(テレビ朝日系)と“冠番組”を各局に持つ中居。

「打ち切りが噂された『中居くん決めて!』は、結局同じスタッフで曜日・時間帯・番組名を変更することになり、TBSで二番組持つということについては変わらない。芸能界では大手事務所から独立すると“干される”という悪しき風習がありますが、それが一切ないのは中居正広の“手腕”によるところが大きい」(芸能デスク)

中居はなぜ干されなかったのか?

 香取慎吾、草磲剛、稲垣吾郎が新しい地図として独立をした後、国民的グループ・SMAPだったにも関わらず、地上波テレビのレギュラーは一本もなくなった。一方、中居については、周囲も本人も「大丈夫でしょ」とはなから楽観的だった。

「中居にはタモリや松本人志、笑福亭鶴瓶ら、大御所たちとの“信頼関係”がある。それに番組制作スタッフへの対応もソツがないんです。SMAPが解散したとき、中居は『SMAP×SMAP』のスタッフ全員にスニーカーをプレゼントしています。“パフォーマンス”だと揶揄する人もいましたが、実際中居からプレゼントされるとうれしい。テレビ各局に中居ファンがいますよ」

 だが、「辞めジャニ」全員が中居のようにはいかない。

「最近のわかりやすい例だと、元関ジャニ∞のふたり。2018年に辞めた渋谷すばる(38)、2019年に辞めた錦戸亮(35)の“現在”でしょう。バラエティのTVスターである中居とこのふたりの露出度はまるで違う」(同前)

“歌が上手い”渋谷もCDの売り上げは振るわず……

 渋谷が、関ジャニ∞のメンバー同席で「この度、ジャニーズ事務所を辞めさせていただく決断をいたしました」と会見をしたのは2018年4月15日のことだった。2014年にすでに退所していた元KAT-TUNの赤西仁が会見も開かずに静かにジャニーズから去っていったことに比べると、特別待遇ともいえる会見開催だった。

「渋谷は歌が上手い。関ジャニの“リードボーカル”でジャニーズ屈指の存在だった。2015年に公開された映画『味園ユニバース』で初主演の際には、刑務所から出所した記憶喪失のチンピラが抜群の歌唱力を発揮するという難しい役どころを見事演じ切り、歌手のみならず俳優としての評価もあげた。作詞作曲もこなす実力派の彼は、関ジャニのメンバーとしての活動だけでは満足いかず、ミュージシャンとしてやっていきたかったんです。アーティストというより職人気質ですね」(レコード会社関係者)

 2018年末をもって辞めジャニとなった渋谷は、2019年春に大手レコード会社のバックアップでソロデビューすることが発表された。10月には初ソロアルバムもリリースしている。

「ファン待望のソロアルバムでしたが、結局、同じ月にリリースし月間セールス1位となったHey!Say!JUMPのアルバム売り上げにはまったく及ばなかった。ポツリポツリとライブハウスで活動していましたが、この3月に予定されていたアジアツアーなどがコロナ感染拡大の影響で中止になり、表舞台からは姿を消しています」(同前)

関ジャニ解散が叶わず脱退した錦戸亮

 渋谷の後を追うように関ジャニ∞を脱退し、ジャニーズ事務所も退所したのは錦戸亮だ。2019年3月、「週刊文春」が「錦戸亮“脱退”で関ジャニ崩壊危機」と報じている。前年の渋谷脱退を受け、錦戸は関ジャニの解散を強く訴えたが聞き入れられず、退所に向けた話し合いが進んでいる、という内容だった。

「ジャニーズは事務所脱退報道の火消しに奔走し、錦戸を引き留めようとしていた。しかし結局、2019年7月半ばから9月3日にかけての全国ツアーの数日後、ファンクラブの会員に向けて錦戸の脱退と9月末での退所が発表されました。

 彼は関西弁でいうところの『イラチ』。せっかちで思いつくと我慢できない短気なところがあるんです。10月1日に日付が変わった瞬間に、インディーズレーベルの設立と11月からの全国ツアー、そしてファンクラブ立ち上げを発表しました。あまりの変わり身の早さにファンは唖然としていた(苦笑)」(同前)

 錦戸は退所後に盟友・赤西仁との共同プロジェクト「N/A」を発進すると発表。2019年12月6日付けで、ふたりがサインした「契約合意書」なるものをサイトにアップした。その項目には「陰口三回バレたら契約解除出来る」、「週刊誌にとられたら10万円の罰金」、「見ず知らずの女性に現を抜かし、軽率に付いていく様な行動はなるべく慎む事とする」など、どこか楽しげなものが並ぶ。

「『赤西軍団』として夜な夜な西麻布や六本木で遊びまわっていたふたりです。女優・黒木メイサとの“出来ちゃった婚”が引き金になり辞めジャニとなった赤西ですが、現在はワールドワイドな活動で実はかなり成功しています。中国版ツイッターWEIBOのフォロワーは300万人近くおり、ファンクラブの会費のあがりだけでも年間1億円近い。その赤西に“儲け方指南”を仰いだのが錦戸なのです」(前出・芸能デスク)

歌手より評価が高かった「俳優」としてのオファーは厳しい

 今年の5月には、「N/A」としてファンを引き連れたハワイツアーを予定している。しかしテレビで錦戸の姿を見かけることはほとんどない。

「錦戸は歌手としてよりも俳優としての評価が高かった。去年の1月期には『トレース~科捜研の男』(フジテレビ系)で主役を張っていたし、おととしにはNHK大河『西郷どん』にも出演していた。でも当面、俳優としてのオファーはないはずです。ドラマ制作側には、ジャニーズタレントではなくなった錦戸にオファーをするうまみがない。同じ時間帯に現役ジャニタレが出演していた場合、ジャニーズが眉をひそめるのは簡単に想像がつくでしょう」(同前)

「辞めジャニ」の共通点は〈テレビとの距離ができる〉こと

 ふたりのように、不祥事による解雇などではなく自ら望んで退所した「辞めジャニ」であっても共通するのは、〈テレビとの距離ができる〉ということだ。

「一度テレビに登場しなくなると、マスへの影響力が小さくなる。となるとテレビ制作側にはそのタレントをオファーする理由がなくなる。そしてまた影響力が小さくなって……と悪循環に陥ってしまうんです。たとえ元ジャニーズであっても、です」

 一方で中居はMCタレントとして揺るがぬ地位を確立してから退所している。「中居さんのポジションの代わりは思いつかない」という番組制作スタッフの数は多く、「辞めジャニ」になったあとも、テレビとの距離が開くことはなさそうだ。

TOKIO長瀬智也は2021年4月以降に退所か

 こんな辞めジャニの先達たちを見て、“辞めジャニ候補”はどう考えているのだろうか。TOKIOの長瀬智也(41)はすでに退所の意向を事務所に伝えているとされている。長瀬は13歳でジャニーズ入り、15歳でTOKIOの一員になった。

「ギターやボーカルはもちろん作詞作曲も手掛けるし、ドラマでも映画でも演者やスタッフから『一緒に仕事がしたい』とオファーを受けることが非常に多い。趣味のバイクについても下ネタでもトーク力はバツグンで、『スジの通ったいいヤツ』だと評価されています。そしてジャニーさんはTOKIOをすごく大切にしていましたから、ジャニーさんの後押しもあって長瀬は芸能界での地位を築いていきました」(映画関係者)

 しかし2018年4月、衝撃の事態が起きる。TOKIOのメンバーだった山口達也が女子高生への強制わいせつで書類送検されたのだ。ほどなく山口がジャニーズと契約解除になったことで、TOKIOは音楽活動を休止。NHK紅白歌合戦への24年連続出場記録も途切れてしまった。

 ベーシストの山口がいなくなっては、バンドとしての音楽活動はできない。実質解散状態となったことで、長瀬は事務所へ退所を申し入れた。現在のところ、来年1月期のドラマ出演が内定しているので、退所は2021年4月以降とみられるという。

「長瀬くんはすでに、とある俳優事務所と今後について話をしています。そこには彼がいままで一緒に仕事をしてきた演出家や脚本家なども所属をしていて、気の置けない人間関係がある。ジャニーズとしてもこれまでの付き合い上、ムゲにはできない事務所です。もしも退所後、そこに所属となればひとまずは安泰でしょう」(同前)

「自由に生活がしてみたい」大野智の心中は?

 もうひとり、来年退所のウワサが根強いのが、大野智(39)だ。

 昨年1月27日、2020年いっぱいでの活動休止を発表した「嵐」のリーダーである。昨年の会見で、「嵐としての活動を一旦終えたいとメンバーに伝えてきた。自由に生活がしてみたいと。何度も話し合いを重ねて、活動休止することになりました」と、活動休止の“言い出しっぺ”は大野自身だったと報告した。

「活動休止後について、『何をするかは考えていない。この世界(芸能界)を離れて、いままで見たコトのないものを感じていきたい』と語っていました。昨年末には『中南米から北米をゆっくりめぐって、そのあとはニュージーランドで釣り三昧の生活をして、最終的には九州の離島で絵を描くのはどうだろう』と知人に話していたそうです。

 壮大な計画ですがかなり具体的なので、割と本気で考えているのかも知れません。そのときにも『別にジャニーズ所属の肩書はいらないと思う』と漏らしている。ほかのメンバーは活動休止後も事務所には残るでしょうが、大野はまったく執着がないようです」(テレビ局関係者)

テレビの世界で活躍することを本人が望んでいない

 大野は退所後の芸能活動への布石を打ってはいるのだろうか。

「いまは『現状を抜け出したい』という思いが強く、具体的な手回しはできていないようです。そもそも大野くんはソロ活動が少なかったし、このまま退所後にテレビの世界で活躍することを本人が望んでもない。絵が好きですから、画家としての活動を考えているのかもしれませんが、新しい地図の香取慎吾を芸術家として大成させた敏腕マネジャー飯島三智さんのような存在がなければ、厳しい道のりになるでしょうね」

 ここにきて「嵐」にも「コロナの嵐」の番狂わせが起きている。嵐はNHK東京2020オリンピック・パラリンピック放送スペシャルナビゲーターとして去年から活動してきたが、肝心のオリパラ自体が延期となった。最終イヤーを華々しく飾るはずだったビッグイベントの延期。嵐の活動休止への影響も考えられるが、リーダー大野の「走りだせ~!」のタイミングによっても、大団円のかたちは変わってくるのかも知れない。

(山本 雲丹/週刊文春デジタル)