2020年3月21日
産経新聞
【ロンドン=板東和正】英政府は20日、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化で失業率が高まることを防ぐため、月2500ポンド(約32万円)を上限に月給の80%を政府が支援すると発表した。
新型コロナウイルスの影響で休業している労働者が対象で、最低3カ月は支援を続ける方針。国民の賃金の一部を英政府が肩代わりするのは初めてという。
英BBC放送によると、英国での新型コロナウイルスの死者数は20日時点で177人、感染者数は3983人にのぼる。ジョンソン英首相は20日の記者会見で、感染拡大を受けて、国内のレストランやカフェ、パブ、劇場などに同日夜から休業するよう求めた。英全土のほとんどの学校も20日から英政府の要請で休校している。経済の停滞で、失業者が増加することが懸念されている。
スナク英財務相は20日、月給を政府が支援する措置について「労働者の解雇を止められるだろう」と話した。
感染拡大による英経済への悪影響を防ぐ対策をめぐっては、英中央銀行イングランド銀行(BOE)は19日、臨時の金融政策委員会を開き、主要政策金利を0・15%引き下げ、過去最低の年0・1%とすると発表した。国債などを買い取って市中に資金を供給する量的金融緩和政策の買い取り枠を2000億ポンド(約25兆8000億円)拡大し、計6450億ポンドにすることも決めた。