2021年10月2日
オリコン
“ギャル飯日記”と題して、美味しそうな手料理をInstagramに日々投稿しているアカウントが話題に。焼き魚、出し巻き卵、お吸い物、大根おろしといった家庭的なおかずが並ぶ投稿には、「美味しそう」「レシピを知りたい」といったコメントとともに、食器や盛り付けの質問などもたくさん寄せられる。投稿者のきなこめしさん(@_kinakomeshi)は、もともとは「お米すら炊けなかった」というが、今では料理の腕を上げて農薬除去や無添加の食品を提供するサービス「KINAKO FOOD」を立ち上げるまでに。ギャルの見た目からか、パートナーからは「料理の腕を期待されていなかった」と当時を振り返る彼女に、どのようにして現在に至ったのか話を聞いた。
■ご飯はコンビニか外食「家庭的の“か”もなかった」彼女を変えた出会い
――きなこめしさんの料理投稿にはさまざまなコメントが寄せられていますが、反響についてはどう感じていますか?
【きなこめし】サボらないために晒す感覚で手料理をSNSに投稿し始めたので、思った以上の反響で、正直、自分が一番びっくりしています(笑)。私のフォロワーさんは優しい方ばかりで、恐れ多いくらいたくさん褒めてくれるので、毎日見る度に嬉しい気持ちになりますし、私のエネルギーの源にもなっています。なんたって、褒められると伸びるタイプなので!!(笑)。
――プロフィールに「お米すら炊けなかった」と書いてありますが、そもそも料理を始めたきっかけは?
【きなこめし】3年前までは一人暮らしで毎日友達と遊んでいたので、ご飯は大体コンビニか外食で済ませていました。家に調理器具すらなく、お米1合に対してお水をどれくらい入れるのかも知らない状態で、家庭的の“か”の文字もありませんでした。
――そこからなぜ料理を始めることに?
【きなこめし】今の彼と出会ったときに「この人と結婚するかも…」と女の勘みたいなものを感じて、実際に1週間後に同棲を開始したんです。その際に、家庭的になれるように生活を変えようと思い、本格的に料理を始めました。
――料理の腕はどのようにして上達させていったのですか?
【きなこめし】今では大体のものはレシピを見ずに作れるぐらいに上達したんですが、料理をし始めたときには3つのことを心がけました。一つ目は料理のモチベーションを上げるために、キッチン用品をかわいくしたこと。二つ目は料理に慣れるように、レシピサイト(クラシル、クックパッド)の完コピをして、ひたすら毎日何かしらを作ること。三つ目は見栄えが良くなるように、作る前にお皿を決めるようにしたこと。お料理教室には一度も行ったことがなく、したことはこの3つだけです。
――日々食卓に並ぶ料理を味わっているパートナーの方は、どのような反応でしたか?
【きなこめし】見た目的にも料理を作らなさそうなイメージだったみたいで、彼に初めて料理を作ったときは、食べる前に「俺、全然舌肥えてないから」「何でも美味しく感じるし、失敗してても分からんねん」って言われました。彼なりの優しさだったと思うんですけど、今思うと全然期待されていなかったですね(笑)。
――徐々に反応は変わっていきましたか?
【きなこめし】今では私の料理を食べると落ち着くみたいで、外食に行ったとしても〆でご飯をお願いされるくらい好んでくれています。食べる度に「うますぎ」「これはやばい」と一つ一つに反応してくれるので、嬉しくて毎日作りすぎちゃいます(笑)。継続は力なりですよ、本当に。
■「見た目や印象だけで判断するのではなく、その人の良いところを見る社会に」
――きなこめしさんの料理投稿を見ると、品数が多く、食器や盛り付けや彩りにセンスを感じますが、料理においてのこだわりは?
【きなこめし】毎日同じ服って着ないじゃないですか…? それと同じように、ランチョンマットや食器、箸置きですら毎日変えていて、同じテーブルコーデをしないことがこだわりなんです! あとは、彩りが綺麗に見えるように笹の葉・大葉・ねぎ・レモンを使うようにしていて、お皿を決めてから料理を作るのもこだわりです。
――たしかに、お皿ってすごく大事ですよね。
【きなこめし】リクエストがなければ、その日に使いたい食器で和食・洋食・中華・韓国料理のどれにするかを決めることがほとんどです。最初にお皿や配置など決めておけば、できたてホヤホヤの状態でお皿にすぐ盛り付けられるので、バタバタしなくて済むようになったおかげで盛り付けのレベルも凄く変わりました。
――料理は日々のルーティンになるとモチベーションにも波が出てくることもあるかと思います。モチベーションが上がらないときはどうしていますか?
【きなこめし】料理が好きなのであまり苦痛には思わないんですけど、やる気がない日はとことん休むタイプです! TikTokにもレシピを載せているんですが、そんな日はホットプレートで簡単なビビンバとインスタントラーメンをよく作っています。彼と“ビビンバの日”って名付けていますよ(笑)
――これまでの投稿で、お気に入りや思い入れのある料理を教えてください。
【きなこめし】妹の誕生日に家族全員で集まって、初めてお母さんに手料理を振る舞ったんです。ウルウルしながら全部食べてくれて、感動したのを覚えています。「なんでそんなにレパートリー多いの?」って料理上手なママにレシピを一個一個聞かれて凄く嬉しかったですし、ママも凄く安心してくれたと思います。
――現在は農薬除去や無添加の安心安全な食品を提供するサービス「KINAKO FOOD」を立ち上げていますが、きなこめしさんの「食」に対する考え方がどう変化して、起業に至ったのでしょうか?
【きなこめし】普段の食材選びはできるだけ無添加のものにしています。添加物だけでなく、日本は農薬使用量が世界トップでもあり、健康被害を及ぼす食材がたくさん溢れているので、身体のために可能な限り安全な食材だけを使いたいと思うようになりました。また、料理をたくさんの方に見て頂けるようになり、何か自分にできることはないかと考えたときに「安全な食材をお届けしたい」と思い、起業することを決めました。
――“ギャル飯日記”とインスタに書かれていますが、“ギャル”という存在自体に少なからず偏見もあるかもしれません。“ギャル飯日記”を発信することで、“ギャル”という存在の見え方をどのように変えていきたいと考えていますか?
【きなこめし】見た目や印象だけで判断する社会ではなく、その人の良いところを見る社会になれば、みんなが自分を信じられる世の中に変わっていくと思います。SNSを通して、少しでもそのお手伝いができれば幸いです。
――きなこめしさんにとって、料理をする時間とはどんな時間ですか?【きなこめし】料理を始めたことで、昔と比べて自信を持てるようになりましたし、“料理のおかげで”ということがたくさんありました。“誰かのため”にする行動は、自分を一番成長させてくれると思います。自分にとって料理をする時間は、誰かのためでもあり自分のためでもあります。