「エアコン」が地震で落ちる心配は? 重さは平均で13キロ…壁にくっつく仕組みと耐震性をダイキンに聞いた

2021年9月18日

FNNプライムオンライン

地震で強い揺れが発生した時、部屋に置いてある家具などが倒れてきたら危ない。それでは「エアコン」はどうだろう。

賃貸物件でワンルームなどの場合、エアコンの真下にデスクやベッドを配置するという、シチェーションも珍しくはないはずだ。戸建て住宅の場合も寝室や子ども部屋など、小さめの部屋に設置している場合も同様だろう。

一般的に家庭用のエアコンは住宅の壁や梁に取り付けられていて、大きさや重量感もなかなかのように見える。落ちてくるようなことがあれば、軽傷では済まないかもしれない。

部屋にはどのようにして取りつけられているのだろう。また、地震による揺れや衝撃で、落下することはあるのだろうか。エアコンメーカーのダイキン工業(大阪市)に聞いた。

エアコンは壁にどうくっついている?

――家庭用エアコンの重さはどれくらい?

全ての回答は家庭用ルームエアコンの「壁掛け型室内機」としてお答えします。また、他社製品の詳細は承知していませんのでお答えできかねます。重量ですが、全メーカーの平均は13キロ程度で、当社では軽いもので6畳用の8キロ、重いもので29畳用の16キロです。

――エアコンが地震で落下することはある?

地震の程度で可能性はないとは言えませんが、室内機全体が落ちることはまず考えられません。当社で把握している限りだと、落下報告は聞いていません。当社では、エアコンの取り付け時に室内機の下部と取付板をネジ止めする「アンダーフィット構造」を採用していて、耐震試験では東日本大震災相当(震度7)の揺れに耐えることが確認されています。

――エアコンは壁にどうくっついている?

室内機より一回り小さな鉄板の「取付板」をネジで壁に付け、室内機の裏側にある「ツメ」を引っかけてとめます。室内機下部左右の穴と取付板の穴が合うようになっているので、ネジ止めします。

室内機と取付板を一体化させるので、地震が来て壁が上下左右に揺れても落ちることはありません。取付板を壁にしっかりつけるのが大切な作業です。

――壁の接地面から外側はどんな構造?

室内機から出ている配管と配線を、貫通穴(壁に空いている穴)を通して、室外機に接続しています。室内機から出ているドレンホース(室内空気の湿気を凝縮した水を排出するホース)も貫通穴を通して室外に出し、端は水がスムースに流れるように開放しています。

万一があっても「配管」でつながる

――落下の要因となり得ることはないの?

壁掛け型モデルのエアコンは、室内機を上部からはめるようにして、取付板の「L字型部分」と室内機の「逆L型部分」をかけて取りつけます。それが“フック”となります。

万一、フックが外れてさらにアンダーフィットのビスが抜けることがあったとしても、室外機と室内機は冷媒配管(銅管)でつながっているので、壁から垂れ下がった状態になります。全体が落ちてくることはまず考えられません。ただ、接続部も外れる恐れがあるので、そのような状態では絶対、下には行かないでください。

――経年劣化で取り付けが緩くならないの?

壁がもろくなれば、ネジが外れることがないとは言えませんが、据え付けネジは正しく取り付けられていれば緩くなることはまずありません。ただ、もしもネジを締めなおす必要が生じた場合は、メーカーのお客さま窓口やお買い上げの販売店、専門業者に連絡してください。

――ネジが緩くなったときのサインはある?

あえて言えば、運転中にガタガタ音がすることはあるかもしれません。ただ、そのようなことはほとんど考えられません。

室内機の下に置いてはいけないものとは

――災害時に備えられる、落下防止対策はある?

特に考えていただかなくて結構ですが、あえて言えば、室内機の下には水に濡れたら困るものは置かないようにしておくとよいでしょう。エアコン内部には室内の空気中の水分を凝縮した水があり、通常はドレンホースで室外に排出されているのですが、地震の大きさによっては、室内機の傾きや振動でその水が滴下することが考えられます。

――エアコンの落下が心配な人に伝えたいことは?

災害時のニュースなどでも、取付板や壁面から室内機が剥がれ落ちても、冷媒配管で室外機とつながっていることで、ぶらりと垂れ下がることで済んでいる場面も見ます。配管工事もエアコンの設置を支える重要な要素です。きちんとした工事がなされていれば、少々の地震ではまず落下することはないので、安心してご使用ください。

エアコンの室内機は取付板を通じて、壁と一体化するように設置されている。そのため、普段は落下を極度に恐れなくてもいいとのことだった。 エアコンの真下にデスクやベッドを配置することも、それほど心配する必要はなさそうだ。ただ、災害の規模によっては、室内機が垂れ下がったり、壁自体が倒壊する可能性は考えられる。危ないかもしれないと思ったら、「すぐに離れる」「近づかない」のが賢明だろう。