2021年8月4日
毎日新聞
奈良の鹿愛護会(奈良市)は7月15、16日に奈良公園に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の頭数を調査し、結果を発表した。鹿苑に保護されている鹿を含めた頭数は1481頭で、前年より189頭少ない。公園に生息する子鹿は82頭(前年は254頭)と前年の3分の1以下になったことが影響した。
愛護会の職員ら延べ41人が目視で調査した。奈良公園内の生息頭数が1105頭(雄鹿217頭、雌鹿806頭、子鹿82頭)、鹿苑内で保護されている頭数が376頭(雄鹿195頭、雌鹿181頭、子鹿0頭)だった。
公園内で確認された子鹿が大きく減ったことについて、愛護会の蘆村好高事務局長は「明確な理由はよく分からない。調査日に雨が多く降ったことで、子鹿がどこかに隠れていた可能性なども考えられる」と話した。
一方、愛護会は、2021年6月までの1年間に死んだ鹿は269頭で、20年に比べて39頭少なかったと発表した。ただ、雄鹿と雌鹿は減ったが、子鹿は112頭で前年より37頭多かった。269頭が死んだ原因は病気(80頭)、交通事故(59頭)など。交通事故の発生が最も多かったのは奈良県庁東交差点から福智院交差点までの国道169号で、事故に遭った鹿は40頭、うち23頭が死んだ。【久保聡】