2021年5月31日
シネマトゥデイ
人気少女コミックを実写化した『胸が鳴るのは君のせい』で映画初主演を果たしたジャニーズJr.のグループ「美 少年」の浮所飛貴が、役づくりを通じて意識した「ジャニーズらしさ」とは? さらに本作で演技の楽しさに目覚めたという彼が、アイドルとして、俳優として、将来の展望についても明かした。
最近はバラエティー番組でも目覚ましい活躍を見せている浮所が今作で演じたのは、クールだけど、時折見せる優しさと笑顔が破壊級の王道イケメン、有馬隼人。少女コミックが原作だけに、当然数々のキュンキュンシーンが用意されている。浮所が役づくりにあたって大切にしたのは「ジャニーズらしさ」だという。
「準備という準備はあまりしないようにしたんです。自然さを出すためというのもありますが、セリフを覚える段階で演技を固めてしまうと、それしかできなくなってしまう気がして。あえて事前にガチガチにせず、その場で思いついたことを取り入れていこうと考えました。特に大事にしたのは胸キュンシーン。もともと照れたり、恥ずかしがったりはしないのですが、自分はジャニーズなんだと言い聞かせて、“堂々としている”ことを意識しました」
演じる有馬のクールさは自分にはないと分析する浮所だが、一挙一動が男性から見てもかっこいい有馬を演じるにあたり、これまでのアイドル活動が大いに役立ったといえるだろう。板垣瑞生や若林時英といった、幼い頃から活動してきた、ジャニーズの仲間ではない俳優たちとの共演も大いに刺激になった。距離が縮まるにつれ、自分はアイドルなんだ、ジャニーズなんだというプライドにも繋がった。
「誰が見ても一目で“ジャニーズだ!”とわかってもらえるような、キラキラ感を身に付けることがアイドルとしての目標。国民的スターになるには“ジャニーズらしさ”が必要不可欠だとひしひしと感じています。木村拓哉さんや松本潤くんといった多くの素晴らしい先輩がいるので、ジャニーズの名に恥じないよう、自分も輝いていきたいです」
だが、名前を挙げた木村や松本のように今後も主演として作品を引っ張っていきたいのかといえば、そうではない。
「主演を務められる俳優さん、女優さんは一握りしかいない。その役割を今回やらせていただいて、それがどんなにすごいことなのか、自分でもわかっているつもりです。でも僕は主演じゃないところでも輝ける人になりたい。主演じゃないのに、主演の存在を食ってしまうような、そんなインパクトのある人間になりたいと思っています。主演、助演、どっちもいける。どんな役でも面白いと思ってもらえる。みんなに興味を持ってもらえる俳優になりたい。それがいまのところの俳優としての目標です」
現在、19歳。「今後、変わっていく可能性は大いにあります」と笑顔を見せた。主演でも助演でもいいから演技に関わりたい。そんなどん欲な気持ちになれたのも、今回の撮影現場があまりに楽しかったからだろう。彼の口から出る言葉の端々にやる気と自信が満ちあふれていた。
「演技がどれだけ楽しいのかということを知ってしまったが故に、いまは気持ちが止まらなくなっています。ずっとアイドルをやってきた自分にもう一つの新しい道も見えてきた。何もなかった大地にいまは雑草が生え始めたぐらいだと自分では思っているんですけど、いつかお花畑になるぐらいにしたい。そのためには演技のスキルを積んでいかなければ。突き進める分野を見つけたことは僕にとって大きな収穫です」
独特なボキャブラリーが印象的な浮所が、彼ならではの大輪の花を咲かせる日が楽しみ。とりあえずは大地に種をまいた『胸が鳴るのは君のせい』の演技をしっかり見届けたい。(取材・文:高山亜紀)
映画『胸が鳴るのは君のせい』は6月4日(金)より全国公開