2021年5月28日
モデルプレス
Aぇ! group/関西ジャニーズJr.の正門良規が27日、東京グローブ座で行われた主演舞台「染、色」のフォトコール及び取材会に、共演の三浦透子、岡田義徳、原作・脚本の加藤シゲアキ、演出の瀬戸山美咲とともに出席した。<取材全文>
◆正門良規主演、加藤シゲアキ脚本舞台「染、色」
加藤が2015年に出版した短編小説集「傘をもたない蟻たちは」(KADOKAWA/角川文庫刊)に収録された「染色」は、美大生のリアルな日常と葛藤を描く青春小説。
これまでも、自著の映画化・ドラマ化がされてきたが、舞台化、脚本を手掛けるのは初の試み。舞台「グリーンマイル」(2017年)で演出、主演としてタッグを組んだ演出家の瀬戸山と、今度は演出、脚本としてタッグを組み直す。
今作で舞台単独初主演を務める正門が演じるのは、自身の才能に葛藤する等身大の美大生・深馬役。ほか、壁にグラフィックアートの落書きをする謎の女性役に三浦、深馬の大学の友人役に松島庄汰と小日向星一、深馬の恋人役に黒崎レイナが出演。そして深馬が所属するゼミの教授役を岡田が務める。
当初は2020年6月に上演予定だった同舞台だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむを得ず中止に。そして同年12月に復活上演することが発表され、今回幕を開ける。
◆正門良規、加藤シゲアキ脚本での舞台にプレッシャー「怖い」
― いよいよ29日に初日を迎えますが、意気込みと、稽古の手応えをお聞かせください。
正門:1年越しに、ようやくお客様に直接伝えられるということで、すごく楽しみですしワクワクしていますし、今めちゃくちゃ気持ちが高まっています!
― その気持ちが汗にあらわれていますね。
正門:あはは(笑)。出てますね!比例していってますね。ズクズクです。
三浦:本番直前なんですけど、未だにまだまだ進化していっている気がして、本番が始まってからもより一層良くなっていくのかなという感じがするので、本番がすごく楽しみな気持ちで今稽古を頑張っています。
岡田:1年待ちましたね。やっぱりいろいろ中止になっている作品が多い中で、こういうかたちで公演できることは本当に奇跡だと思っているので、それも踏まえつつみんなで一致団結して頑張っていけたらと思っています。
― 瀬戸山さんと加藤さんは、「グリーンマイル」の時には“演出と主演”という関係性でしたが、今回は“演出と脚本”というクリエイターとしての関係性となります。心境はいかがですか?
加藤:あ、クリエイターの加藤シゲアキです。
一同:(笑)
加藤:このプロジェクトが動き出してから1年半くらいかかっていると思うんですけど、本来であれば昨年上演する予定だった公演で、瀬戸山さんとも何度も打ち合わせをして、出来上がった時に「すごく良い台本が出来たね」という話をした次の日に中止が決定してしまったので、「せっかくお互い話し合って良いものを作れたのに悔しいですね」と話したことを覚えています。
情勢でどうなるかわからないながらも、とにかくもう一度上演する機会をいただけたことがすごく嬉しかったです。昨年上演したかったけれど、この1年いろいろあった思いを逆にエネルギーやバネにして、「良い作品にしたいですね」と瀬戸山さんと気持ちをひとつにしてここまでやってこれたと思います。
僕の思いを瀬戸山さんが受け止めて、演者の方にも演出していただいたので、すごく良いものが出来るんじゃないかなと今実感しています。
― この1年の間で、加藤さん自身にも変化がありましたよね。
加藤:何かと話題にしていただく機会が多かったですね(笑)。そういった意味でも良かったのではないかな、と思います。
瀬戸山:今加藤さんがおっしゃったように、1年前に「すごく良い戯曲が出来たね」という手応えがあって、世に出せないことが本当に悔しかったんですけれど、今回こうして稽古を重ねて、本番がもう明後日ということで本当に嬉しいです。
原作もとても面白いし、戯曲もさらに深まっていて、とても良い作品だと思うので、それを実際に演者の皆さんに演じてもらって、作品が生き始めたなという感じがしています。
― この1年の間に手直しはあったのでしょうか?
加藤:ほとんど昨年出来ていたんですけど、復活上演が決定してから、年明けに微修正程度に数回直しました。
― 正門さんはその辺をどう捉えていましたか?
正門:毎回変化を楽しみにしていました。「どこが変わってるんやろう?」とワクワクしながら、純粋に本を読んでいました。
― 正門さんは単独初主演ですが、それについてはいかがですか?
正門:正直言うと、本当にめちゃくちゃ緊張しています(笑)。でも去年上演することが出来ず、いろいろ中止になることもあったんですけど、この1年間で楽しみや期待の気持ちがどんどん高まってきて、自分の中で今程よくいろいろな感情があります。
― 加藤さんは事務所の先輩ですが、頼りになった部分などをお聞かせください。
正門:逆にすごいプレッシャーでした(笑)。怖いですよ。
一同:(笑)
加藤:そんなに怖くないですよ!
正門:初めてこのお話を聞いた時が2年前の秋やったんですけど、その時はもうとりあえずビビりまくっていました。ようやく「やるぞ!」というのが高まってきた感じです。
― 加藤さんは、プレッシャーを与えていたのでしょうか?(笑)
加藤:まぁでも、プレッシャーですよね、きっと(笑)。決して簡単ではない役ですし、かと言って正門に合わせるのも、それは逆に失礼かなと。なので役に飛び込んでもらうつもりで、僕も遠慮なく書かせてもらいました。
そもそも難しい役ではあると思うんですけど、稽古場に何度か足を運ばせてもらって、あまり近くで見たら可哀想かなと思って遠くで見ていたんですけど、「真ん前に座ってください!」「プレッシャーに慣れたい」と。本番さながらの緊張を僕が与える役割をしていました。でも本当にどんどん成長していく姿を見ていて逞しいですし、初主演舞台なのに堂々としているなといつも感心しています。
― 昨年は楽屋のれんを加藤さんからプレゼントしていただけるのでは、というお話もあったようですが、いかがですか?
加藤:(のれんが)もうかかってます。昨日見たんだよね?
正門:見ました。ビックリしました。昨日小屋入りやったんですけど、入った瞬間にスタッフさんがバーっと走ってきて「ちょっと待ってください!」と携帯で動画を回しだして、「何を撮られてるんや?」と思って、わからぬまま楽屋に入ったらのれんがかかっていて、そのファーストリアクションを動画に収めたかったのだろうと。
加藤:あ、そうなの?でもその動画見てないけど(笑)。その動画誰に?その人のプライベート?(笑)俺見てないよ。
正門:本当ですか?「加藤さんに送ります~!」って言ってたんですけど(笑)
加藤:もらってないよ。
正門:写真も2枚撮りました。
加藤:写真は見たよ。動画は見てない。
正門:え~!
加藤:そうなんだ。ちょっとあとで確認しておきます。
正門:(笑)。そういうサプライズの演出を受けました。
― そののれんは私たちもどこかで見ることができるのでしょうか。
加藤:出せばいいんじゃない?ブログとかで。
正門:そんな軽くていいですか?(笑)
加藤:いいよ、いいよ。
正門:じゃあ、ここぞというタイミングでアップします。
◆岡田義徳、正門良規を“カウンセリング”「溜め込まないようにさせたいなと思った」
― 先輩という意味では、岡田さんは俳優として先輩ですが、岡田さんから見て正門さんの演技はいかがですか?
岡田:大変真面目だと思います。本当に近年稀に見る真面目だなと思うくらい真面目で、その姿勢がすごくこちらにも伝わってくるので、教えられることというか、アドバイス出来ることはいくらでもアドバイスするし、逆にわからないことは「全部聞いて」という話も、コミュニケーションをとる中でしています。
本当に努力家だなと思います。すごく努力をしているなと。考えるタイプなので、ワーっと考えちゃうと周りが一瞬見えなくなっちゃって、そういうのを見たりしていると「あ~可愛いな」というか(笑)、自分もこういうふうに考え込んだ時期があったなと思ったりするので、アドバイスするわけでもなく温かく外から見守って、正門くんが答えを出すのを待っていたりします。
稽古でもそういう瞬間がいくつかあったので、調子悪そうだなと思ったら「調子悪い?」とか、あまり乗っていないなと思ったら「今日乗り切れない?」と聞いてみたりとか、アドバイスというよりは、体の状態を聞くようにはしています。あまり溜め込まないようにさせたいなと思ったので。
正門:ありがたかったです。本当にカウンセリングに近いというか(笑)、かなり支えられました。
― 三浦さんとはとても良いコンビネーションで、動きが合っていたような気がするのですが、お二人はいかがですか?
正門:初めてお会いしたのが本読みの日で、ダンスの稽古があったので、それで距離感が近くなったというか。
三浦:そうですね。お芝居のやりとりよりも先にまずダンスの稽古があったので、わりと緊張せずに入れた感じがありました。
― お互いどのような印象を持っていますか?
三浦:最初は岡田さんが言っていたように真面目で誠実でしっかりとされている方かなと思って、実際ほとんどそういう印象なんですけど、わりと抜けてるところがあるというか…(笑)、そういう瞬間があって、稽古場でも笑いが起こるような。意図していないと思いますけど、稽古場の雰囲気をすごく盛り上げてくれているな、という印象です。
― 加藤さんは脚本を書いていて、俳優としても出たいという思いにはなりませんでしたか?
加藤:今回は最初から出ないというプロジェクトにしようというのがありました。僕が出ると、僕のイメージ通りのものが出来ると思うんですけど、そうじゃないものが見たいと思っていました。原作も自分の作品なので、それを舞台化する時に、そこまで作るということは僕の使命にして、あとは僕の手を離れた時に僕の想像を超えるものにしてくれる演出家の方とやりたいと話が進んでいたんです。自分が出ることでイメージに縛られるのではないかと。逆に言えば、脚本家の楽しみというか、喜びでもあるので、瀬戸山さんとは一度ご一緒しているので、そこに対しては申し分ないと言いますか、間違いなく良い作品にしてくださるだろうと思っていたので、今回は脚本家に徹することが喜びだと感じていました。
― ご自身の脚本が視覚化されて見て、改めて今の心境をお聞かせください。
加藤:感慨深いものがあります。今言ったようにほとんど想像を超えて良い作品になっていますし、キャスティングが決まる前から原作はあったので、この作品を読んでこの仕事を受けるというキャストの方もきっといるだろうから、読んでいて面白い脚本にするというのが僕の中の個人的なミッションでした。お芝居しやすいというよりは、読んでいて楽しい脚本にしようと。
めちゃくちゃ細かいト書きや描写も書いているんですけど、それを僕はラブレターだと思って瀬戸山さんを含む皆さんに送ったんですけど、瀬戸山さんはそれを挑戦状だと受け取ったようで…(笑)。かなり無茶振りのようなト書きをなるべく忠実に再現しようとしてくださる、その意地みたいなものがとても見ていて楽しいし、変わったところは、ここはさすがに無理だったんだなとわかって面白かったです(笑)。僕は「変えてもいいですよ」と言っていたんですけど、瀬戸山さんがすごく真摯に受け止めて、まずは「そのままやります」と、すごく「染色」を愛してくださって、この作品に臨んでくださっているんだなと感じました。
― 正門さん、最後に改めて意気込みをお願いします。
正門:スタッフさんとキャストの皆さんと全員で、まずは千穐楽を迎える、完走することを目標にやっていけたらいいなと思います。観に来ていただいた方が後悔のないようにしっかり作品を届けたいと思っています。頑張ります!
― ありがとうございました。
舞台「染、色」は、5月29日~6月20日まで東京グローブ座、6月24日~6月30日まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。(modelpress編集部)
◆あらすじ
深馬(正門良規)は一目置かれる美大生で、恋人や友人、先生から作品を期待されているが、本人は思い通りにならず悶々としていた。気を紛らわすように街の壁にグラフィティアートを落書きする深馬。しかしあくる日、その絵は自身が描いたものとはわずかに異なっていた。違和感の中で、深馬は何者かの気配を感じるようになり、色褪せていた日常は思わぬものへと変化していく。