「タッキー&翼」の明暗 「滝沢歌舞伎」は即日完売だけど「今井」主演舞台はガラガラ

2021年4月22日

デイリー新潮

 かつて時代の寵児だったジャニーズ事務所の人気アイドルデュオ「タッキー&翼」。解散後、滝沢秀明(39)は故ジャニー喜多川氏の後継者として同事務所の副社長に上り詰めた。一方、今井翼(39)は病気のため退所を余儀なくされ、昨年4月に新事務所で芸能活動を再開するも、コロナ禍が直撃して苦戦を強いられている。アイドル時代から何かと比較される両者だが、今月8日に同日開幕した、それぞれが演出や主演を務める舞台でも、明暗が分かれている。

評論家が途中退席

「かつてのジャニーズ人気アイドルデュオの片割れにしては、意外に客を持っていないな、という印象でした」(芸能記者)

 激動の時代のスペインを生き抜いた画家ゴヤの半生を描くオリジナルミュージカル「ゴヤ―GOYA―」。体調を崩したことで休業を余儀なくされていた今井翼の復帰後初めての主演舞台だ。鳴り物入りで開幕したが、空席が目立ったという。

「作品自体パッとしなかった。脚本も演出も微妙で、招かれていた評論家の中には、途中退席した人もいました」(同)

 東京・日生劇場では29日までの公演だが、チケットは売れ残っている。

 一方、滝沢秀明が演出を務める「滝沢歌舞伎ZERO 2021」(東京・新橋演舞場)は、5月16日までの全日程が即日完売。転売チケットはプレミアがついて暴騰しており、定価1万2500円のところ、20万円を超える価格のものも出現している。

「いずれも松竹が手掛ける舞台。わざわざ同日開幕としたのは『タッキー&翼』に引っ掛けた話題性のためでしょうが、かえって格差が明らかになっただけのような……」(同)

不運続きの今井翼 上り調子の滝沢秀明

 2人はジャニーズ事務所へ1995年に入所。同期としてJr.時代から人気を集め、2002年に「タッキー&翼」として歌手デビューした。ドラマ、CM、映画、舞台と幅広く活躍し、ともに時代の寵児となった。

 しかし、今井は14年に、めまいや耳鳴りの症状を起こすメニエール病を発症。18年3月に芸能活動を休止した。同年9月には「タッキー&翼」が解散。同時に、ジャニーズ事務所を退所した。

 その後、体調が回復。約2年のブランクを経て、昨年2月のシスティーナ歌舞伎「NOBUNAGA」で芸能界復帰を果たした。同年4月から松竹エンタテインメントに所属している。

 ある芸能関係者は「せっかく復帰したのに、コロナ禍が直撃した」と頭を抱える。

「『NOBUNAGA』以降は目立った動きができず、昨年秋に予定されていた舞台も全日程が中止となった。活動再開後も休業中とほぼ稼働は変わらなかったと思います。病気といい、コロナ禍といい、今井は本当についていない」と、同情する。

 一方、滝沢は18年に芸能活動を引退した後、演出家に転身。着々と実績を積み上げている。

 19年1月からはジャニーズJr.の育成やプロデュースを手掛ける「ジャニーズアイランド」の社長に就任。同年9月にはジャニーズ事務所本体の副社長も兼任するようになった。ゆくゆく社長に昇格するのは既定路線と衆目が一致するところだ。

 演出家としても実業家としても、“帝王”故ジャニー喜多川氏の後継者として辣腕を振るう。

「どうしても、順調な滝沢に比べて今井は……と思ってしまう。あんなに一緒だったのに、こんなに明暗が分かれるなんて、誰も予想していなかったのでは」(同・関係者)

不仲乗り越えて

 2人はアイドル時代から幾度となく、不仲説がささやかれていた。

 別の芸能関係者は「楽屋が2人一緒でも会話らしい会話をしているのを見たことがない、という話は有名でした」と振り返る。

 滝沢は、デビューほどなくして05年にはNHK大河ドラマ史上最年少(当時)23歳で主演を飾り、翌年には滝沢歌舞伎の前身となる「滝沢演舞城」をスタート。

「ジャニー氏ら上層部から愛されていました。負けず嫌いな今井は、相方ばかり大きなソロの仕事があって面白くなかったと思います。今井もスペインにフラメンコを学びに行くなど、次第にソロ行動が増え、解散のしばらく前からデュオでの活動は見られなくなっていました。退所も病気だけでなく、『事務所の中枢となる滝沢新社長との不仲から』という説もあったくらいです」

 一方で、前述の芸能記者によると、今井は昨年2月の復帰にあたって、滝沢とおそろいのブレスレットを着け始めたという。

 今年3月の「ゴヤ」の制作発表会見でも、「僕の盟友はしっかりと“ここ”にいますから」と、滝沢を思い起こすように胸に手を当てながら力強く語っていたと話す。

「わだかまりは解けたのでしょう。今井を案じる関係者の中には『今井の魅力を引き出せる演出家は滝沢以外いない。滝沢演出の今井主演の舞台が実現できれば』と話す人もいます」(同・芸能記者)

 2人が手を組めば、往年のファンも戻ってくるに違いない。

ライター・吉田草々

デイリー新潮取材班編集

2021年4月22日 掲載