2020年12月21日
ミュージックヴォイス
活動休止まで残り2週間を切った嵐。5人それぞれの日々にスポットを当て、その功績を振り返る連載。今回は櫻井翔について触れていきたい。
“報道”、“ラップ”とジャニーズが踏み入れていなかった分野に進出し、その道のパイオニアとなった櫻井翔。『news zero』(日本テレビ系)でのキャスター歴は15年目。ラップは、デビュー曲から担当し、現在では作詞も手掛けている。今でこそ、大学を卒業して報道キャスター業をしているジャニーズタレントや、各グループにラップ担当のメンバーがいることは珍しくないが、彼はその先駆者とも言えるだろう。
まずは、“報道”キャスターになるまでのルーツを探っていく。櫻井は、ジャニーズ事務所に入所した中学2年生から、「無遅刻無欠席」を目標に掲げ、仕事と学業を両立させてきた。デビュー後は、「A・RA・SHI」のリリースや、ワールドカップバレースペシャルサポーターとしての活動など、ただでさえ多忙な日々だったことだろう。だが、仕事で地方に訪れた際も、他のメンバーが現地に宿泊するなか、東京に戻り朝から学校に通い、新幹線で再び地方に戻ったりと、一度決めたことは貫こうとする芯の強さがある。
そんな努力が生かされたのが、『news zero』でのキャスター業だ。積み重ねてきた知識を武器に、月曜キャスターを務めている。取材前には、その人物の関連記事や書籍などの資料を読み込んで頭に叩き込む。そして、取材中はそれらの資料は一切持ち込まずに、相手と向き合う。その姿勢こそが、彼が多方面で求められてきた理由のように感じる。
嵐ファンのなかには、櫻井の影響でニュースに関心を持つようになった人もいることだろう。彼のエピソードを糧にして、自分を鼓舞している受験生、今までは勉強をしてこなかったけど、「ちょっと勉強してみようかな…」と思うようになった学生もいるかもしれない。彼は、こうした学生たちにも、メッセージを送ってきた印象が強い。
そして、櫻井を語る上で欠かせない“ラップ”の存在。ファンからは、「サクラップ」と称されており、詞には、その時々の彼の想いが反映されている。例えば、2007年に発売されたシングル曲「Happiness」のカップリング曲「still…」のリリックは、海外に行ってしまう友人の背中を押すメッセージが含まれているという。また、ソロ曲「Hip Pop Boogie」の、<道がないなら創ればいい/その先例え果てていたとしても>には、ジャニーズのパイオニアとして道を創ってきた自身の想いのようなものが込められているような気がした。
ジャニーズにおける“報道”、“ラップ”のパイオニアとして、道を切り開き、後輩たちに新たな選択肢を与えた櫻井。道を切り開いていくというのは、決められたレールを走ることよりも、大変なことが多かったはずだ。きっと、持ち前の芯の強さで、研鑽を重ねてきたのだろう。21年間、ジャニーズの後輩たちだけでなく、ファンの道しるべともなった。これから、彼が新たに切り開いていく道は、どんな道なのだろうか――、先駆者として走り続けてきた背中に、「ありがとう」と声をかけたくなる。【かなぴす】