トイレのハンドドライヤー利用再開へ 経団連が指針改定

2021年4月13日

産経新聞

 経団連が一部改定する新型コロナウイルス感染防止指針に、トイレなどに設置している洗った手を乾かす「ハンドドライヤー」の使用再開を盛り込むことが12日、分かった。

 ドライヤーを利用してもウイルスを飛散させないとの科学的根拠を確認したという。対象はオフィスや工場などだが、商業施設なども経団連の指針に準拠した感染対策をとっており、再開の動きが広まりそうだ。

 感染拡大の初期段階から、施設の責任者らが自主的にハンドドライヤーの使用を停止した。政府からの「新しい生活様式」の実践例策定を求められ、経団連は、感染防止の指針を昨年5月に策定。医療関係者からの意見を受け、ドライヤー使用停止も盛り込んだ。

 しかし、各国の対策をみても、ハンドドライヤーの使用停止はない。むしろ世界保健機関(WHO)は、手洗い後の使用を推奨している。ハンドドライヤーの使用がコロナの感染を拡大させる科学的根拠が乏しいとの指摘があった。

 経団連が外部の研究機関「衛生微生物研究センター(東京)」に依頼した評価試験でも、ドライヤーの手を入れて乾かす部分から、菌が飛散して周囲で浮遊する菌数が増加することはないことも確認した。 

 専門家からも、「管理された施設のトイレでの感染は極めて限定的で、使用再開方針を理解する」との賛同を得た。ハンドドライヤーの利用を停止することで、手をきちんと乾かさなかったり、洗わないケースが増えると、感染リスクを高めるとの指摘もあった。

 このため経団連は、ハンドドライヤーの定期的な清掃や消毒を前提に、使用を再開するよう指針を改定する。オフィスや工場などが対象だが、商業施設や外食産業などの業界団体では経団連指針に準拠した対応をとっている。使用環境を考慮したうえでの対応となるが、多くの施設で再開される可能性が高い。