2021年2月13日
日刊ゲンダイDIGITAL
ジャニーズのルーツ編(23)
◇ ◇ ◇
かつてジャニーズのスキャンダルといえば熱愛ぐらいだった。事務所も「別れさせる」などと厳しく規制することで大きな問題なく通り過ぎていった。今は熱愛など当たり前。規律も緩和しているが、更なる悩みが生まれている。不祥事である。
特に顕著になり始めたのが2000年代。主な事件だけでも、2001年にSMAPの稲垣吾郎が道路交通法違反と公務執行妨害で逮捕された(後に不起訴処分)。
05年はNEWSの内博貴が未成年で飲酒。謹慎処分を受け実家のある大阪に戻り自粛していた。07年には光GENJIの赤坂晃が覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕。09年には草磲剛の深夜の公園での公然わいせつ事件もあった。交通違反や事故などは日常茶飯事だった。それでもジャニーズに忖度するメディアで報道は拡散せず、世間の記憶はほとんどない。
「90年代後半から活躍したSMAP人気がジャニーズブームを再点火させた。ポスト木村拓哉を目指して志望者も増え、事務所も多くのジュニアを採った。ジャニー氏が面談して判断する時間もなくなり、写真などで判断。本来のジャニーズタレントらしい影が薄れ出し、多く採用するために今までのジャニーズにいないタイプもいる。人が増えると才能ある優秀な子もいれば、やんちゃな子も出てくる。タレントの管理も必然的に甘くなれば、野放しになり、誘惑に負け事件を起こす。根本的に大人になる前の少年ですからね」(音楽関係者)
晩年、ジャニー氏は知人に「最近、うちの子が同じように見える」と言っていたという。そのジャニー氏が育成途中で逝去。
200人を超すジュニアの指導を引き継いだのが滝沢秀明副社長だった。前途洋々が一転、多難を思わすかのようにさまざまな難題が起きている。中居正広らの退所者に不祥事を起こすジュニアたち。滝沢に実権が代わった昨年も、Snow Manの岩本照はラブホで未成年者を含めた合コンをしていたことが発覚。美少年の佐藤龍我は1歳年上の19歳の女優とお泊まり報道。2人とも自粛処分を受けた。
さらにコロナ禍で自粛期間中の4月、手越祐也が深夜まで複数で飲酒。8月も山下智久は未成年の女性も含めた深夜の飲み会が発覚。2人とも一定期間の自粛を命じられたが、活動再開前に自ら退所するという前代未聞の事態。新旧いろいろな芸能プロがあるが、短期間にタレントがこれほど問題を起こすことなどない。はたから見ても事務所内の歯車が狂いだしているようだ。
処分の最終決断は藤島ジュリー景子社長が下しても、滝沢にとっても頭の痛い問題だろう。
「処分に例外をつくれば、新体制に対して不満が募る。幸い、現役時代の滝沢はスキャンダルと無縁の優等生。滝沢の目を気にすることなく処分は出しやすかったと思う」(元ジャニーズ関係者)
極め付きがジャニーズの長男格・近藤真彦の不倫だった。滝沢にとっては大先輩。ジュリー氏にしても、母親・メリー喜多川氏がもっとも可愛がり面倒を見てきたタレント。それでも近藤も自粛させた。本来、ジュニア育成が主の滝沢にとって苦難のスタートとなった。=つづく(二田一比古/ジャーナリスト)