ギョーザ購入額 宇都宮、73円差で2位転落 市職員ため息「もっとPRを」

2021年2月6日

毎日新聞

 1世帯当たりのギョーザ購入額で日本一の座を昨年(2019年分)に奪還した宇都宮市の2020年分の購入額は3693円と、わずか73円差で浜松市(3766円)に抜かれ、2位に転落した。総務省が5日発表した家計調査を基に宇都宮市が集計した。発表の瞬間を見守った市職員からはため息が漏れる一方、「もっとPRしなければ」と前向きな声も聞かれた。【竹田直人、渡辺佳奈子】

 宇都宮市役所7階にある観光交流課。総務省のホームページが更新される5日午前8時半の前から、数人の職員がパソコン前に陣取った。ギョーザのぬいぐるみを抱えて発表を待つ姿もあった。そして首位陥落。その瞬間、「ああ……」とため息が漏れたが、塩田寿美恵課長は「順位には一喜一憂しない。これからも宇都宮ギョーザの魅力をしっかり発信していく」と話した。

 家計調査は、スーパーなどで売られている総菜や生ギョーザが対象。市内の「餃子通り」にある専門店やオリオン通りなどの飲食店で提供されるギョーザや冷凍ギョーザは含まれない。

 首位の座を巡っては、宇都宮、浜松両市はこれまで激しく争ってきた。宇都宮市は2010年まで15年連続で首位だったが、11年に初めて浜松市に抜かれた。12年以降は、宇都宮市が浜松市に3勝6敗で負け越している。

浜松市 「宮崎市リード」奮起

 浜松市によると、「浜松餃子」は円形に並べて焼き上げたギョーザの真ん中に箸休めのゆでもやしを添えるのが定番スタイル。ギョーザ店は市内に300店舗以上ある。「市に3年以上在住する人が、こだわって作っていること」が定義で、味や形に決まりはない。各店舗は自前のギョーザに合うタレやラー油を手作りするなど工夫を凝らしている。

 今回の家計調査では、上半期(2020年1~6月)の中間結果発表で、宮崎市が宇都宮、浜松両市などを抑えて1位に立った。浜松市によると、この報道などを受けて8月以降、1世帯当たりの毎月の購入額が増えたという。「浜松餃子学会」で広報担当の花枝(はなえだ)一則さん(53)は「宮崎市がトップに立ったことで『ギョーザを食べよう』と思う人が増えたようだ」と話す。浜松市側から見ると、宇都宮市はJR宇都宮駅近くや中心市街地に店が多く、観光客が訪れる環境が整っているように映るという。

 浜松市観光・シティプロモーション課の北嶋秀明課長(50)は「ギョーザ文化で宇都宮、宮崎両市と一緒に盛り上がれるのは非常に良いこと。新型コロナウイルスの収束後は多くの人に浜松市に来てもらい、名物のうなぎやすっぽんなども味わってほしい。これからも一緒にギョーザで盛り上がっていければ」と話した。【渡辺佳奈子】