分身ロボットで在宅学習 挙手して質問、愛らしく 筑紫高が試験導入

2021年1月30日

西日本新聞

 新型コロナウイルスの影響で在宅学習する生徒たちを支えようと、筑紫高(福岡県筑紫野市)が今月から、遠隔操作が可能な小型分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を試験導入している。生徒側がロボットを通じて視線を変えられ、挙手も質問もできる。教員や生徒たちのコミュニケーションが円滑になることが期待される。

 同高は昨春、緊急事態宣言を受けて休校になり、ビデオ会議アプリの「Zoom(ズーム)」などでオンライン授業を実施。だが、黒板の文字が見づらかったり、教員の声が聞こえづらかったりした。教員側から生徒の反応が分かりにくいという課題も残った。

 現在は通常授業を行っているが、濃厚接触者として2週間の自宅待機となる生徒も出てきた。松尾隆一校長は「教室で授業を受ける臨場感が伝わるかもしれない」と考え、今月初め、新聞記事で知ったオリヒメ1台を私費でレンタルした。

 オリヒメは高さ23センチ、幅17センチ、重量700グラムの分身ロボット。利用者はスマートフォンやタブレットの専用アプリで遠隔操作する。オリヒメの額にあるカメラで動画を撮り、スマホなどに受信。撮影する方向も変えられる。上下左右に頭を動かしたり、マイクを使って質問したり、その場にいるような動作も可能だ。

 今月28日、教卓に置かれたオリヒメは科学の授業を受けた。教員の言葉にうなずいたり、挙手したり。愛らしい動きに教室内の生徒からも笑みがこぼれた。

 同高では、新型コロナの影響で生徒が欠席する場合に、ズームやオリヒメを使ったオンライン授業に参加するか保護者にも意向を確認。ほとんどの生徒が参加を希望するという。オンライン授業の改善を図るとともに、全校集会などで人権意識を高めるようにも努めているという。

 来月には、校長自費のオリヒメに代わって、学校として1台を試験導入する方針。松尾校長は「自宅学習を余儀なくされた生徒の学習に遅れが出ないようにし、コロナで生徒が傷つくことがないように考えたい」と話した。 (西村百合恵)