2021年1月19日
日刊ゲンダイDIGITAL
昨年1月にデビューしたジャニーズのアイドルグループ「SixTONES(ストーンズ)」の1stアルバム「1ST(ファースト)」(1月6日発売)が初週売り上げ46.7万枚を記録し、「ファーストアルバム初週売り上げ記録」で男性アーティスト歴代4位となった。
ジャニーズ初のYouTubeチャンネルを開設し、登録者数は106万人を突破。昨年末はNHK紅白歌合戦にも初出場し、日本のみならず、世界にもファンを増やしている。今回は、そんなSixTONESの魅力に迫る。
■音楽で真っ向勝負するジャニーズのパイオニア
「僕たちは音楽で勝負したいと思っている」
これは年末に彼らが音楽番組に出演した際、言っていた言葉だ。まさに1stアルバムはその言葉を体現するがごとく「音楽で真っ向勝負する」という決意が表れた1枚だろう。
ラウドロックやR&B、 EDM、壮大なバラードなど様々なトレンドの音楽の要素をバランスよく取り入れたというところはもちろんだが、彼らの歌唱はワイルドさの中に、ほのかな繊細さが感じられ、それが形容し難い「色気」となっていた。
そしてこのアルバムは「ライブでどうパフォーマンスして魅せるか」を前提に計算して作られた「アーティスト的なアルバム」となっている。
筆者が特に度肝を抜かれたのは、通常盤に収録されている「うやむや」という曲だ。この曲はアニメーションのMVとしてYouTubeにもアップされいるため、ネット上のコメント欄にはジャニーズのグループということには気づかずに、純粋に曲の良さに惹かれたという書き込みが多く入っている。
この曲はいわゆる「ボカロ楽曲」ぽさのある、打ち込み系の楽曲だ。譜割や言葉の数も多いので、純粋に歌唱力とそれプラス表現力が求められるのだが、メンバー全員がその水準に達ながらも、自己の表現を追求していた。
SixTONESがこのジャンルに真っ向から手を伸ばしたことは、今後、ジャニーズのイメージを刷新するだろう。まさにSixTONESは、音楽性のみでジャニーズの新境地を開拓していくパイオニアといえる。
■不揃いだからこそ生まれる一体感
SixTONESの名前の由来は、6つの音域を持った原石たちがそれぞれの音を奏でるという意味で付けられた。名付け親である故・ジャニー喜多川氏から「君たちはバラバラだけど、グループ感はあるからそれぞれの個性を出せるようなグループにしよう」と言われたそうだ。
確かにその名の通り、彼らは非常に個性的で、「まとまり感」や「仲良しグループ感」を売りにしているグループではないだろう。しかしその個性は反発しあうことなく、きちんと「共鳴」している。
同じ高みを目指し、メンバーを表現者として信頼しあっているからこそ、自らの個性を思い切り爆発させることができ、そこで生まれる一体感。だからこそ、SixTONESのパフォーマンスには「貫禄」や「帝王感」すら感じてしまうのだろう。1枚目にして既に完成されたアルバムと言える。(SALLiA/歌手、音楽家、仏像オタク二スト、ライター)