バレーW杯&グラチャン消滅 新たに五輪予選設定へ…世界大会の日本開催なくなれば競技普及に痛手

2020年9月4日

スポーツ報知

 バレーボール世界4大大会のワールドカップ(W杯)とワールドグランドチャンピオンズカップ(通称・グラチャン)が廃止されることが3日、分かった。世界選手権の次回2022年大会は、女子はオランダとポーランドの共催、男子はロシアでの開催が決定済み。五輪開催年を除けば、毎年秋に日本で国際大会が行われてきたが、今後はゴールデンタイムにテレビ観戦できない可能性もある。

 国際大会の見直しを行ってきた国際バレーボール連盟(FIVB)は、18年から始まり、毎年世界各地を転戦するネーションズリーグの格を上げ、五輪中間年に従来通り世界選手権を開くことを決めた。その一方で、W杯とグラチャンは整理された形だ。

 近年、W杯は五輪前年に、グラチャンは1993年の第1回から五輪翌年に日本で開催され、ファンにはなじみ深い大会だった。関係者によると、23年はW杯に代わって五輪予選が設定される見通し。男女とも各8チームが3組に分かれ、上位2チームに出場権が与えられる方向だという。

 その五輪予選の開催国については、公募で行われる。日本のテレビ局数社が日本開催で放映権獲得を目指しているが、中国、ポーランドなどは潤沢な資金を誇り、競争は激化しそうだ。日本での開催権を逃した場合、24年パリ五輪までの間、日本での国際大会はなくなる。子どもたちの目に触れる機会も激減し、競技普及にも大きな痛手となる。

 90年代半ばまでは、当時日本協会会長の松平康隆氏がFIVB副会長を務め、日本は発言力があった。だが、その後は日本協会から要職に就くことができず、交渉力もなくなってきている。ある放送関係者は「FIVBはいかにして、収入を増やすかばかりを考えている。今までジャパン・マネーに頼ってきたことを忘れたかのように、お金のある国になびいている。W杯1大会より、(各組に分かれる)五輪予選3大会の方がもうかると考えたようだ」と指摘した。

■ネーションズリーグ今後注力の方針

 バレーボールの国際大会で最も古いのが世界選手権。男子が49年、女子が52年に始まった。五輪は64年東京大会で正式競技に。その後、W杯、グラチャンが加わり、世界4大大会と呼ばれるようになった。近年は五輪から翌年にグラチャン、五輪中間年に世界選手権、同前年にW杯というサイクルができ、世界選手権は主にTBS、W杯はフジテレビ、グラチャンは日テレが放送してきた。

 FIVBは従来、毎年行ってきた男子のワールドリーグ、女子のワールドグランプリを18年からネーションズリーグに統合。16チームで世界を転戦しリーグ戦を行った後、6チームによる決勝ラウンドで優勝チームを決める大会に今後注力していく方針を示している。