2020年7月8日
ステージナタリー
世田谷パブリックシアター×東京グローブ座「エレファント・マン The Elephant Man」が10月から11月にかけて、東京・世田谷パブリックシアターにて上演されることがわかった。
「エレファント・マン The Elephant Man」は、1880年代のイギリス・ロンドンを舞台に、異形の容姿を持ち、“エレファント・マン”と呼ばれた青年ジョン・メリックを主人公にした物語。彼が解剖外科医トリーヴズとの出会いから真の魅力を放ち、やがて人々を惹き付けていく様子を描く。
実在の人物を題材にバーナード・ポメランスが戯曲を手がけ、1977年にロンドンで初演された本作は、1979年にアメリカ・ニューヨークでも上演され、同年のトニー賞で3部門を制した。また、1980年にはデヴィッド・リンチの監督で映画化もされている。
今回、森新太郎の演出のもと、過去にデヴィッド・ボウイやブラッドリー・クーパーが演じてきたタイトルロールに挑むのはジャニーズWESTの小瀧望。彼のほかに、トリーヴズ医師役の近藤公園、トリーヴズが勤める病院の理事長役の木場勝己、舞台女優のケンダル夫人役の高岡早紀が顔をそろえ、花王おさむ、久保田磨希、駒木根隆介、前田一世、山崎薫が脇を固める。
小瀧は「MORSE-モールス-」以来、5年ぶりとなる舞台出演に「『やっと舞台をやれる! 嬉しい』という気持ちがこみ上げた」と語る。また、「HAMLET ―ハムレット―」「The Silver Tassie 銀杯」でそれぞれ森の演出を受けた菊池風磨と中山優馬からは「稽古は覚悟したほうがいいかもな」と言われたことを明かし、「ファンの方々には僕の奮闘する姿をぜひ間近で見て欲しいなと思いますし、僕とキャストの皆さま全員、そして森さんでつくるこの『エレファント・マン』を多くのお客様に届けられるように、全力で、全身全霊で頑張りますので、ぜひ劇場へ足を運んでもらえたら」と意気込みを見せた。
森新太郎コメント
作品全体を貫いているのは、劇作家バーナード・ポメランスによる極めて冷徹な文明批評だ。
1880年代、世界経済の覇者として繁栄を誇っていたヴィクトリア時代のイギリス。身体が著しく変形、膨張した《エレファント・マン》ことメリック青年は、解剖外科医のトリーヴズと運命的な出会いを果たす。そして、“科学”や“モラル”という輝かしい旗印のもと、思いもよらぬ特別待遇を受ける。半永久的に病院で保護される身となったのだ。「規律を守るのは自分のため、規律を守れば幸せになれる」と叩き込まれて。救済はすなわち制限と管理と罰をも意味し、作者はその光景を帝国主義国家の植民地支配と重ねてみせる。「与えているつもりが、実は奪い取っているだけではないのか?」メリックとの交流を通し、己の欺瞞と向き合わざるを得なくなったトリーヴズの葛藤は、最後の最後まで解消されないままである。しかしそれ故に、この作品は今なお世界中で上演される意義がある。私はそう思う。
それにしても、メリックを演じる俳優の苦労はいかばかりだろうか。彼は特殊メイクなど一切用いずに、身体のねじれだけで、観客にメリックを想像させなくてはならない。これは戯曲の要請である。歪んだ外面と歪みのない内面、その両方を同時に表現しなくてはならないのだ。小瀧望は私にとってまだまだ未知の俳優であるが、彼の全身から発せられる知性と感性に期待は膨らむばかりだ。誰よりも気高く、そして無邪気なメリックを生み出してくれるに違いない。
小瀧望コメント
僕にとっては5年ぶりの舞台となります。舞台のオファーを受けた時「やっと舞台をやれる! 嬉しい」という気持ちがこみあげて、そして演出が森新太郎さんと聞いて、さらにこれはもうやらないという選択肢は絶対にないなって、本当に飛びついたという感じでした。「エレファント・マン」はタイトルだけは知っていて、昔映画版を見たことがあるという両親からは「すごく悲しい物語だ」という話を聞きました。今、戯曲を読んでみると、僕が演じるエレファント・マンの人生はすごく衝撃的なんですが、彼の心の汚れない綺麗さ、あふれ出る知性という、そうした内面の美しさが、長年にわたってこの作品が多くの人々に愛されてきた理由なんだなと思っています。初めてお会いした森さんは優しくて、作品について色んなお話をしてくださったのですが、菊池(風磨)と、(中山)優馬からは「稽古は覚悟したほうがいいかもな」とは言われています(笑)。ファンの方々には僕の奮闘する姿をぜひ間近で見て欲しいなと思いますし、僕とキャストの皆さま全員、そして森さんでつくるこの「エレファント・マン」を多くのお客様に届けられるように、全力で、全身全霊で頑張りますので、ぜひ劇場へ足を運んでもらえたらと思います。
世田谷パブリックシアター×東京グローブ座「エレファント・マン The Elephant Man」
2020年10月~11月
東京都 世田谷パブリックシアター
作:バーナード・ポメランス
翻訳:徐賀世子
演出:森新太郎
出演:小瀧望(ジャニーズWEST) / 近藤公園、花王おさむ、久保田磨希、駒木根隆介、前田一世、山崎薫 / 高岡早紀、木場勝己
※山崎薫の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。