「松本潤と小栗旬が仲悪かったって本当?」クマ役が振り返る『ごくせん』撮影秘話

2020年6月3日

文春オンライン

 NHK紅白歌合戦の紅組司会を4度も務めるなど、国民的女優となった仲間由紀恵の出世作にして、その周りを固める生徒役の豪華さでも知られる大人気学園ドラマ『ごくせん』の第1シリーズ(2002年・日本テレビ)から18年――。新型コロナウイルスの影響で2020年春ドラマの放送が遅れていることを受けて、6月3日から2週連続で再放送されることが決定した。

 嵐の松本潤をはじめ、小栗旬、成宮寛貴(平宮博重)、石垣佑磨、松山ケンイチ、上地雄輔、田中圭、塚本高史などが出演していた本作は最高視聴率23.5%を記録。この大ヒットを受けた『ごくせん』第2シリーズにはKAT-TUNの亀梨和也、赤西仁、速水もこみち、小池徹平、小出恵介、高良健吾、水嶋ヒロらを迎えて、第1シリーズを上回る平均視聴率28.0%。日本テレビの連続ドラマにおいて歴代1位を獲得し、この記録はいまだ破られていない。

 その後も、第3シリーズ(Hey! Say! JUMPの高木雄也、三浦春馬、石黒英雄、三浦翔平、ジャニーズWESTの中間淳太、桐山照史)、映画化(Kis-My-Ft2の玉森裕太、賀来賢人、入江甚儀、森崎ウィン)と続き、平成における学園ドラマとして今も多くの人の記憶に残っている。

 今回、この再放送を前に、2002年の第1シリーズで沢田慎(松本潤)とともにヤンクミ(仲間由紀恵)の生徒として登場し、その後も映画までの全シリーズに出演したクマこと熊井輝夫役の俳優・脇知弘さんに、当時を振り返って、撮影秘話や思い出について、語ってもらった。

「性格はヤンクミそのもの」仲間由紀恵とカラオケに行って……

――最近は音楽番組でも当時の映像が流れていますが、ヤンクミこと山口久美子を演じていた仲間由紀恵さんは22歳。生徒役の皆さんと2、3歳差くらいで、そんなに変わらないことに驚きます。

「そうなんですよね。僕も1歳くらいしか変わらないんですが、すごく大人っぽい印象でした。でもご一緒してみたら、性格はまさにヤンクミそのもの。ほとんど素で、演技いらないんじゃないかってくらいそのままでした。最近見るドラマでも、比較的シリアスな役が多いので、その印象を持っている方もいると思いますが、とにかく明るくてお茶目な方です。アドリブも多いドラマだったんですが、毎回面白い返しで現場を笑わせていましたよ」

――仲間さんとの印象的なエピソードはありますか?

「みんなでカラオケに行ったことがあったんですが、僕が『島唄』を歌い始めたら、仲間さんもマイクを片手に一緒に歌ってくれました。しかもちゃんとハモってくれて(笑)。とにかくノリが良くて、打ち上げではコントも披露してくださった記憶があります。他の生徒ともいつも楽しそうに話していましたよ」

――脇さんが演じたクマ(熊井輝夫)は、ヤンクミとのエピソードが多い役でしたが、仲間さんとの共演で思い出に残っているシーンを教えてください。

「今回の再放送にはないかもしれませんが、やっぱり第11話ですね。クマの父親が死んでしまって、そのショックで家出をしてしまうんです。そんなクマのために、3年D組の仲間が実家のラーメン屋をみんなで手伝ってくれているのを目撃するシーン。初めて監督さんから『泣いてほしい』と言われてすごく不安だったんですが、いざ本番が始まったら涙が止まらなかった。忘れられないシーンですね。

 でもあとからテレビのインタビュー取材の時に、結構熱いセリフを言ってくれた仲間さんが『あの時、実はすごく眠くてよく覚えていない』っておっしゃってて愕然としました。そりゃ、ないだろって(笑)」

撮影現場にファンが殺到していたのは……

――『ごくせん』と言えば、仲間さん以外にも嵐の松本潤さんをはじめ、生徒役で出演していた皆さんがいま大活躍されています。ただ、当時は皆さん20歳前後でやんちゃな時期ですよね。3年D組は「不良ぞろい」という設定でしたが、実際の現場はどんな雰囲気だったんでしょうか?

「本当に学校みたいでした。朝早く撮影が始まるので、みんな眠い目をこすりながら撮影に参加していて。遅刻する奴もいましたね。あ、そういえば、旬くんも遅刻してたなあ(笑)。撮影の合間も、仲良いやつらで集まって話している感じ。僕はその前に撮影が一緒だったこともあって、旬くんとかとよく話してた気がします。

 あとは成宮くんともよく話してて。彼はこの作品が連ドラでの初レギュラー出演だったんですが、撮影中も肌に良いサプリメントとか飲んだり、健康にすごく気を遣っていて、当時から美へ意識がすごく高かった。だからか、撮影が進むにつれて人気もアイドルみたいにすごくなってきて。撮影現場にファンの方が来てたんですけど、『成宮くん~!』の黄色い歓声がよく聞こえてました。本当に凄い人気でしたね」

逸話「あの時の松本潤は怖かった」は本当なのか?

――ドラマでは、些細なことで喧嘩が始まるシーンがよくありましたが、正直、実際はどうでした?

「喧嘩ってほどでもないですけど、本当に些細なことでひと悶着っていうのはありましたよ。例えば、教室のシーンで、前列にいる奴が立ち上がったりすると、『なにやってんだよ、映らないだろ』って口論になったり(笑)。みんな映りたいから、当然ですよね。でも、その時に潤くんが『俺は全身が映らなくても、どこかで(カメラに)抜かれるからそんなに気にならないな』って言ってて。年下ですけど、すげえカッコいいって思いました。潤くんらしいなっていう(笑)。

 そういえば、少し前に潤くんと番組で一緒になって、久しぶりに会ったら『おお~! 脇! 楽屋上がってよ!』ってすごい盛り上がって。その時も本当に同級生と話しているような不思議な感覚になったんですよね。この感覚は『ごくせん』の共演者に対してだけかもしれないです」

――『ごくせん』に纏わる松本潤さんのエピソードだと、「あの時の松本潤は怖かった」や「松潤と小栗旬は仲悪かった」がすごく聞かれるんですが……。

「たしかに最初はツンケンしてて、近寄りがたいなあって感じ。撮影が一旦止まって休憩になったら、一人そそくさと車に戻って台本を読んでるようなやつでしたね。でもそれも話数が進むにつれてどんどん打ち解けていきました。僕は一応一番仲が良い設定だったんで、頑張って話しかけた気がします……(笑)。そしたら徐々に話してくれるようになって。

 旬くんは『感じのいい兄ちゃん』って感じで、その2人が特別仲悪いっていうのはなかったけど、確かに潤くんはみんなとあんまり話してなかった印象がありますね」

――そうなると、ドラマの中でいつも3年D組をまとめている沢田慎のキャラクターとはちょっと違いますね(笑)。実際の現場で、3年D組をまとめていたのって誰なんですか?

「それは上地雄輔くんですね。彼は3年D組の出演者のなかで一番年上だったんで、それこそ何か揉め事があると『まあまあ~』っていつも仲裁に入ってました。本当に学校みたいだったので、仲良いグループも分かれてたんですけど、上地くんは全員と仲が良かった。みんなから『リーダー!』って言われてました」

「ヤンキーってどう演じたら良いんですか??」と聞いてきたあの子

――上地さんをはじめ、『ごくせん』シリーズには本当に色んな方が出演されていますよね。第1シリーズでは、生徒役に松山ケンイチさん、ゲスト出演にも田中圭さん、塚本高史さんもといった顔ぶれです。

「松山ケンイチくんの活躍は一番想像してなかったですね。当時、僕は彼とはあんまり喋っていなくて、一方的にすごくおとなしい人なのかな……ぐらいの印象しか持ってなかったんです。でもその後に別の作品で共演して、彼のお芝居の素晴らしさに本当に度肝を抜かれました。こんなすごい演技する人だったんだって。今思うと、内に秘めてた才能があったんだなって思いますね。

『おっさんずラブ』でブレイクした田中圭くんは第10話で共演しましたね。彼は優秀な高校の生徒役で。撮影中よりも作品が終わってしばらくして、また別の作品で一緒になった時に『お久しぶりです。「ごくせん」ではお世話になりました!!』と挨拶してくれたことが印象深いです。

 あと、これは第1シリーズのメンバーじゃないんですが、第2シリーズに出演していた小池徹平くんはすごくよく覚えています。というのも、最初の顔合わせの時に、あの可愛らしい顔で『ヤンキーってどうやって演じたらいいんですか?』って聞きに来たんですよね。そんなこともありました。懐かしい(笑)」

――今回の再放送では放送予定がありませんが、最終回から半年後に放送されたスペシャルでの卒業式のシーンがやっぱり印象深いです。出演者の皆さんにとってもそうじゃないかなと。

「そうですね。卒業式のシーンは第1シリーズのメンバーで臨む最後の撮影だったんですけど、潤くん演じる沢田慎の答辞からヤンクミの最後の言葉まで、本当の卒業式を迎えているような感覚で。撮影のためにリハーサルもするんですけど、『ずっと聞いていたいな』ってくらい名残惜しい時間でした。撮影中にすでに涙流している奴もいましたけど、みんな『OK!』でカメラが止まった瞬間に号泣してましたね。

 僕は全シリーズ出演させてもらっていますが、この感覚は他のシリーズでは全くなくて。やっぱり3年D組の生徒として過ごした時間が本当に貴重で、大切なものだったんだなとすごく思います」

長く愛されてきたドラマ『ごくせん』という作品の始まり

――今回、18年ぶりに、当時の放送枠と同じ水曜の夜10時からの放送が決定ということで、SNSでは「待ってました!」「神編成!」という喜びの声がたくさんありました。

「もう18年前になるんですね……。放送から長い期間を経ても視聴者の皆さんに、こうして愛していただいて本当に感謝しかないです。実は、僕もあれから18年経って、2人の子供がいます。初めて子供たちに大切な作品でもある『ごくせん』をちゃんとテレビで観てもらえることがすごく嬉しいんです。

 第1シリーズは長く愛されてきた『ごくせん』という作品の始まりでもあり、原作の漫画を一番忠実に描いた作品です。一度見たことがある方も、第2シリーズ以降を見たけど第1シリーズはまだという方もぜひおうちで楽しく見てもらえると嬉しいです」

(「文春オンライン」編集部)